日本時間の20日未明、高市首相がアメリカのトランプ大統領とホワイトハウスで会談しました。
1時間半に及んだ会談で、高市首相はイラン情勢への日本の対応方針を説明し、トランプ氏から一定の理解を得た形です。
この日米首脳会談について、フジテレビ・中本智代子解説副委員長と見ていきます。
青井実キャスター:
日本側は会談成功とみているようですが、この辺り評価としてはどうですか。
中本智代子解説副委員長:
私としては、日本もアメリカも両方、作戦勝ちだったと思います。どっちが勝ってどっちかが負けたではなく、どちらもお互いウィンウィンで、双方80点、合格点かなと思っています。
遠藤玲子キャスター:
中本さんが言う、作戦勝ちどういうことなのか、ポイントは2つです。「ドナルド」と“サナエスマイル”。そして、キーパーソンは“シンゾーの通訳”。映像で見ると、ホワイトハウスで高市首相を出迎えたトランプ大統領に対して、高市首相は握手からの笑顔でハグをしました。
青井実キャスター:
抱き着いているようなハグというか、そういう感じですね。
遠藤玲子キャスター:
その後、行われた首脳会談ですが、1時間半のうち冒頭30分が公開されました。そこで飛び出したのが1つ目のポイント「ドナルド」と“サナエスマイル”です。
高市首相(日米首脳会談の映像):
私は世界の繁栄と平和に貢献できる、世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っている。そのために、私は諸外国に働きかけてしっかりと応援をしたい。きょう私はそれを伝えにきた。
遠藤玲子キャスター:
高市首相、トランプ氏のことを「ドナルド」と呼んで、「世界中に平和と繁栄をもたらせられるのはあなただけ」と、べた褒めしました。さらに、いわゆる“サナエスマイル”につられてトランプ大統領も笑顔を見せる場面も見られました。
青井実キャスター:
言葉の言い回しとか作戦どおりなんですかね。
中本智代子解説副委員長:
そうだと思います。トランプ大統領はイラン攻撃以降、本当に機嫌が悪くてぴりついているというのが言葉、口調、態度から全部出ていたんですが、この会談の時は高市首相につられてニコッとしたり、写真撮影でも本当に穏やかで久しく見ていないスマイルが見られました。「日本の支援なんていらない」と言っていた時とまるで別人だったんですね。それは高市首相がきちんとイランには言うべきことは言ったよ。平和と繁栄をもたらせるのはあなただけって。「平和」っていうのがノーベル平和賞が欲しいトランプ大統領にとってはウイークポイントといいますか、くすぐるポイントだったと思います。
遠藤玲子キャスター:
さらに、2つ目のポイントですが、キーパーソンは“シンゾーの通訳”ということです。
青井実キャスター:
高市さん自ら英語をしゃべろうとしたけど、通訳を介してやり取りする場面がありました。安倍元首相と同じ通訳が担当だということですね。この辺りもポイントだと。
中本智代子解説副委員長:
同じ安倍元首相の通訳さんを訪米に連れて行ったという、良かったポイントは2つあると思うんですね。皆さん、記憶に新しいゼレンスキー大統領が同じ場所でトランプ大統領と会談を行った時に、ゼレンスキー大統領はもちろん英語をお話にはなるんですけれども、ファーストランゲージではないんですよね。それなのに、直接やり取りをしてしまったので、お互いテンションが上がってけんか腰になってしまったと。ただ、トランプさんと高市首相のやり取りの中では、通訳さんを挟むことで一拍間を置いて、しっかり相手の言葉を受け止めて返事ができる、考えて返事ができる、間が置けるのが1つ大きなポイントだと思います。さらに、この通訳さんを連れて行ったことについて、トランプ大統領「シンゾー、シンゾー」と、今でも安倍さんのことをとても良く思っているようで、高市首相が安倍さんの後継者だと、いわゆる弟子だという認識があるので、同じ通訳さんを連れてきた、これはシンゾーと同じ路線をいってくれるんだな、つまり自分の味方なんだなというふうに受け止めたし、高市首相もアピールできたと。
青井実キャスター:
中村さん、この通訳さん含め、茂木さん、赤沢さんなど顔なじみをそろえてという感じでしたけど、外交どう見ましたか?
SPキャスター・中村竜太郎氏:
映像を見る限りでは、高市さんはトランプさんの懐にスッと入りこんでいる感じがしますし、2人の相性もいい気がしますね。あと、“したたか外交”とおっしゃっていますけど、今回の外交の場では高市さんかなり頑張っている印象を私は感じました。高市さんは「できること、できないことはちゃんと伝えた」としていますが、あの性格のトランプさんからすると「できない、できない」と言われたら納得しないと思うんですよね。できるラインを日本の事情を踏まえたうえで伝えたのはよかったと。高市さんも押し引きをしっかりやったと思います。
青井実キャスター:
そういう意味では最大の懸案だった艦船派遣について、この辺り非公開の会談で話し合われた可能性はあるんですか?
中本智代子解説副委員長:
あると思います。本来はワーキングランチ、執務室から移動してランチを食べる予定だったんですが、その時間ももったいないと言ってホワイトハウスの高官にワーキングランチはなくなったのか聞きましたが、「協議をもっとディープなものにしたい。もっとディープに話し合いたいために圧縮した」と。つまり、ずっと軽食を食べながら首脳会談をするということなので、全部で結局90分。30分間の公開でしたけれども、あと60分間。記者とかのいない場で話しているので、そこで深い会話はされたと思うんです。トランプ大統領も気を使ってといいますか、デリケートな部分、日本は法律で自衛隊の派遣はできないので、それを分かったうえであの場では言わずにクローズな場で言った可能性はあると思います。
遠藤玲子キャスター:
ただ、今回の会談で一瞬ひやりとする場面もありました。高市首相にとっては想定外とも取れるやり取りがあったんですが、記者からの質問でトランプ大統領がイランへの攻撃について、「同盟国である日本などに事前に伝えなかったのはなぜか」と問われる場面がありました。それに対しトランプ大統領は「奇襲攻撃にしたかったから誰にも言わなかった。奇襲攻撃に関しては日本以上に詳しい国なんてないだろう?なぜ真珠湾攻撃のことを教えてくれなかったんだ?」と返したんです。
青井実キャスター:
高市首相も一瞬、微妙な表情をされていましたけれども。
中本智代子解説副委員長:
ちょっと目を見開いて驚いたという感じでしたけれども。トランプ大統領が真珠湾、パールハーバーですとか原爆について触れるのは初めてじゃないんですね。公の場、支持者の集会とかでもアメリカは戦争に勝ったとアピールするために何度も使っていることなんですが、さすがに同盟国、しかも当事者の首相の前で言うというのは、とてもルール違反というかタブー。アメリカメディアも、この場でそういったことを言うのは外交儀礼としていかがなものかと報じています。
ただ、この場でも高市首相がこれに反論しなかったんですけれども、日本人としては残念な気持ちはありますが、このあとに、いわゆる会談本番が控えていますから、スルーしたのは正解ともいえると。それも、通訳さんがいたからこそ、もし直接やり取りしていたら何らか答えなきゃいけないわけですよね。それをしないで済んだということもいえると思います。
青井実キャスター:
続いてはホワイトハウスで行われました夕食会について見ていきましょう。
遠藤玲子キャスター:
夕食会では、トランプ大統領が指示したかは分かりませんが、アメリカから音楽のおもてなしがありました。夕食会で流れた音楽、X JAPANの「Rusty Nail」です。
SPキャスター・中村竜太郎氏:
意外というか斬新ですよね。逆にトランプさんが日本に招かれた時に、トランプさんが好きな「Y.M.C.A.」かけないと思うんですよ。ただ、BGMによっては和やかになりますし、話題を提供できるから、アメリカ側の最大限のおもてなしなんじゃないかなと思います。
中本智代子解説副委員長:
これもアメリカ側のおもてなし作戦の1つなんですね。実は、16日に日本にいるグラス駐日大使が本国に戻ってトランプ大統領とミーティングをしているんです。しっかり打ち合わせして、高市首相はこんなものが好きだよと話されたんだと思います。XJAPANは高市首相、ファンですからね。
それと、ゴルフ好きなトランプさんに関連してか松山英樹プロがいたり、あと孫さんも何回もトランプ大統領とは面識がありますし、同じテーブルに座って、これがおもてなしだったんだと思います。
遠藤玲子キャスター:
夕食会の冒頭、高市首相とトランプ大統領が一緒にスピーチをして、日米関係の親密さをそれぞれがアピールしました。
高市首相(夕食会の映像):
(トランプ大統領は)強い日本、強いアメリカ。豊かな日本、豊かなアメリカ。私たちはこれらを実現するための最強のバディだと確信しています。
トランプ大統領(夕食会の映像):
高市首相と私のリーダーシップで、パートナーシップをこれまで以上に強固で素晴らしいものにするだろうと確信している。
遠藤玲子キャスター:
といったスピーチがありましたが、改めて夕食会には首相以外に茂木外相や赤沢経産相らも参加。そして、先ほどもありましたソフトバンクグループの孫正義会長、さらにグーグルのピチャイCEOも同じ席に座っているということですね。
青井実キャスター:
この席次、中本さんはどう見ますか?
中本智代子解説副委員長:
まず、テーブルの形ですね。ラウンドテーブル、円卓というのはとても話しやすいので、親しみをアピールするのにいいと思います。同じテーブルにグーグルのCEOですとかビジネスマンたちがいるので、ここでデリケートな、艦船を送る送らないとかイラン情勢という話にはならないと思うので、ビジネスだと思うんですね。孫さんに夕食後にインタビューしたんですけれども、みんなが知っている曲「となりのトトロ」も流れたそうで、とても和やかで非常にいい雰囲気だったと。
青井実キャスター:
この雰囲気で「トトロ」が流れていると思うと、ちょっと、え?って思うかもしれないですけど、和やかにしようと。
中本智代子解説副委員長:
ちなみに美空ひばりさんの「川の流れのように」も流れたそうです。
青井実キャスター:
今回の日米首脳会談の成果、どうみますか?
中本智代子解説副委員長:
国際社会から見たら物足りない。もっとガツンと仲がいいからこそガツンと言ってほしかったという気持ちもあるかもしれないんですけれども、懐に入る作戦というのは日本のお家芸、技だと思います。
青井実キャスター:
そういう意味で国際社会から日米首脳会談は注目されていましたが、イランだったりの国際社会から見るとどういうふうに見てるんでしょうか。
中本智代子解説副委員長:
とりあえずご機嫌を直してくれたという意味では、とても良かったと思います。イランは、とても親日国家でアラグチ外相というのは元駐日大使でもあるんですね。だから日本をよく知っていって、もうちょっと強くいってほしかったと思いますが、まだ始まりにすぎないのでここからが本番だと思います。
青井実キャスター:
複数の政府関係者も「何とか乗り切った」という認識もありましたけど、このあとどうなっていくかですね。