岡山市で発生した山林火災は地域の人々の暮らしに大きな爪痕を残しました。ほとんどが焼けた農園を懸命に再生してきた男性の1年を取材しました。

◆春の訪れを感じるようになった「あの山」で…スイカ農家では高菜やネギが収穫時期を迎える

【3月13日】
桜が咲き、春の訪れを感じる山のふもと。清水八勝さん(78)の農園では高菜やネギが収穫時期を迎えていました。

(清水八勝さん)
「(雨が)3週間くらい前に少しずつ降ったからとても生育が良くなった」

◆2025年3月23日、強風で火の手は瞬く間に…懸命の消火活動

2025年3月23日、岡山市南区飽浦で山林火災が発生。風が強く、火の手は瞬く間に広がりました。

【発生から48時間】
(中西源太記者)
「現在午後1時です。火がまた立ち上り始めました。黒い煙とともに立ち上り始めました。ヘリコプターによる消火活動が行われています」

消防による懸命な消火活動が連日行われたものの、火の勢いは弱まらず一進一退の状態が続きました。

◆「スイカの種をここに…みんな焼けてしまった。大事な種だったのに・・・」

鎮火宣言が出たのは発生から20日が経過した4月11日。焼失面積は岡山市側と玉野市側合わせて486ヘクタールにおよび、記録が残る中で岡山県内最大となりました。火災によるケガ人はいませんでしたが、地域の人々の暮らしには大きな爪痕が残りました。

【2025年3月】
(清水八勝さん)
「スイカはまだこれから。苗はこれからだが、種をここに置いていた。それもみんな焼けてしまった。大事な種だったのに・・・」

◆時間をかけて準備してきたスイカ栽培 焼け跡で誓う「このままでは終われない」

倉庫が焼け8年程前から毎年育てていたスイカの種や栽培途中の野菜も大打撃を受けました。農園の至る所に残る火災の爪痕。再生への道のりはここから始まりました。発生から1週間後には新しく買ったスイカの苗を育てるため、支柱にする竹を裏山に切りに行く清水さんの姿がありました。

(清水八勝さん)
「とても時間をかけて準備してきているからこのままでは終われない。スイカが実ったら本当に泣いてしまうのでは。あなたたちに見せたい」

◆大規模火災から4ヵ月で予想外のサイズで実ったスイカ 懸命な姿に周囲からは「敬服する」との声も

火災から約4カ月。夏を迎えた農園にはうれしい光景が広がりました。

(清水八勝さん・2025年7月)
「バンザイ。やっとここまで来た。予想できなかったが大きいのができて良かった」

焼け焦げた畑を一から立て直し、ようやく実ったスイカ。約250玉が実り、中には13キロを超える大玉もありました。清水さんのひたむきな思いはスイカ狩りに訪れた人たちにも伝わっていました。

(訪れた人は…)
「ここまでよく頑張ったと思う。応援したい」
「本当に心意気が伝わってくる。植物を愛し、食べる人を喜ばそうと思いながら一生懸命されている姿には敬服する」

◆被災から1年…現在も農園で野菜や果物の栽培に向け復旧作業「やれるところまでやろう」

【3月13日】
清水さんにこの1年について尋ねました。

(清水八勝さん)
「やらなくてはならないことを消化してきたという感じ。火事の後始末もやれるところまでやろうと。そんなに深くは考えていない」

現在も毎日農園に出向き復旧作業を続けています。野菜や果物の栽培に使える土づくりを行うため火災による燃え殻をふるいにかけていきます。2026年はまだ手がつけられていない壊れた倉庫の改修も進めていきたいと言います。

◆一日一日を「きょうもやったぜ」と思えるように生きたい…被災したスイカからは新たな種も

この1年間、常に前を向いてきた清水さん。2025年のスイカからはたくさんの種が取れ、2026年も新たな挑戦が始まります。

(清水八勝さん)
「これから火事を超えるようなつらいことはそうそうないと思う。仮にあっても、笑って乗り越えていきたいという気持ちになった。自分に残されている時間は限られているので、一日一日を「きょうもやったぜ」と思えるように生きたい」

岡山放送
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