髙田夫妻のケースで再び脚光

代理出産は直後、再び脚光を浴びることになる。

2003年、俳優の向井亜紀さんと、プロレスラーの髙田延彦さんが、アメリカで代理出産によって双子の男児を授かったと発表。帰国後、品川区役所に出生届を提出したが、「双子は“代理母”の子ども」として受理されなかった。

向井亜紀さんと髙田延彦さん
向井亜紀さんと髙田延彦さん

夫婦は不受理を不服として争い、東京高裁は出生届の受理を認めたが、最高裁が覆した。

示された“法規制の必要性”

こうした議論の高まりを受け、日本学術会議は2008年、代理出産について「法律による規制が必要で、原則禁止とすべき」とする提言をまとめた。一方で、厳格な管理のもとで限定的に実施する「試行的実施」の道も示した。

しかし、この提言を受けても具体的な法整備は進まず、代理出産をめぐる制度は約20年間、“宙づり”のまま放置されてきた。

動き出した議論、しかし……

停滞してきた議論は、2020年代に入り、動き始める。

精子や卵子の提供による出産が広まる中、法的枠組みを設けようと、超党派の議員連盟が議論を重ね、2025年2月、参議院に「特定生殖補助医療法案」を提出した。

超党派議員連盟の会合
超党派議員連盟の会合

法案では、提供された精子や卵子で生まれた子どもについて、その夫婦を法律上の親とすることや、成人後に提供者の情報を一部知ることができる仕組みなどが盛り込まれた。

一方、代理出産は制度として認めず、見返りとして報酬を受け取った場合などには罰則が設けられる内容となっていた。こうしたルールについては、「制度設計に向けた第一歩」と評価する声がある一方、代理出産を望む当事者の夫婦からは「私たちの選択肢を奪うのか」といった批判もあがった。

結果として、法案はLGBTや「出自を知る権利」をめぐる論点などから野党が反対し、審議入りしないまま廃案となった。

代理出産をめぐる議論は、現在も“宙づり”のままだ。

海外では制度化も

国内では、議論が続く代理出産。海外では、明確に禁止する国、条件付きで認める国など対応が分かれている。

例えば、フランスやドイツなどでは法律で禁止。アメリカは州ごとに制度が異なり、カリフォルニア州などでは契約に基づく代理出産が認められている。イギリスやカナダなどでは、報酬を伴う代理出産は禁じる一方、無償の場合は条件付きで認められている。

日本人は、ロシアのウクライナ侵攻以前はウクライナを選ぶケースが多かったが、近年はジョージアを選ぶ夫婦も比較的多いという。

こうした国々では、是非は分かれるものの、代理出産に一定のルールが設けられている。

一方で、日本では制度が整備されていないため、海外で代理出産を選ぶケースがあっても実態が把握されにくいのが現状だ。