人手不足や多様化する顧客のニーズに対応するため、ビジネス界で進む「無人化」。北陸新幹線の開通で観光客が増加したJR敦賀駅周辺でも、無人で24時間営業する土産物店や低価格を武器にしたホテルが相次いで登場している。
営業時間外のニーズに応える無人土産物店
敦賀駅西口のロータリーから徒歩1分の場所に2025年12月オープンしたのが、24時間営業の無人販売店「omiya24」だ。
店内にズラリと並ぶ自動販売機。販売しているのは敦賀名物の「かたパン」や小牧のかまぼこ、さらには「敦賀ふぐのてっちりセット」といった本格的な商品まで、多彩な土産物。
フグのてっちりを購入していた人は「湯引きとヒレザケセットも付いてますね」と満足げに話す。
この店を運営するのは、敦賀駅交流施設オルパーク内で土産物店「ヒビコレクト」を営むエコシステムだ。
有人店舗から目と鼻の先に、2店舗目となる無人店をオープンした理由について担当者は「営業時間外の問い合わせが多く、その声に応えるため」とする。
「ヒビコレクト」の営業時間は午前9時から午後6時まで。
一方、敦賀駅のホームには午前5時台の始発から午後10時台の最終まで、北陸新幹線や特急が発着する。
営業時間外の早朝・夜間の顧客に注目したのが、24時間営業の無人販売店だったのだ。

狙いは的中し、自動販売機の売上は「ヒビコレクト」の営業時間外である早朝から午前8時台と、午後7時から9時までの時間帯で全体の4割近くを占めるという。
さらに、無人化することで「人件費の削減につながり、より効率的に事業を展開できる」と担当者。商品の在庫をウェブ上で管理し、一定数を下回ると随時補充するシステムを導入することで、スタッフが定期的に確認に来る必要がなくなり業務が効率化した。
無人化で徹底的にコストカットしたホテル
一方、同じく敦賀駅西口にあるビル1階には、無人化で「低価格」実現した宿泊施設が2月にオープンした。

チェックインからチェックアウトまでを完全無人システム化した、男性専用のキャビンホテルだ。
案内された客室は広さ約2畳。中はベッドと布団のみという、非常にシンプルな作りとなっている。
運営者は「カプセルホテルよりも広く快適で、ビジネスホテルよりもリーズナブルにご利用いただける」のが売りだという。
出張などのビジネス利用はもちろん、飲み会の後や終電を逃した際、さらには大雪などで帰宅困難になった時など、さまざまなシーンでの利用を想定している。
部屋は壁とアコーディオンカーテンで仕切り、プライベート空間を確保。トイレとシャワールームは共同で、飲食やビジネス利用が可能なカフェスペースも完備している。
そして最大の魅力は、いつ泊まっても税込み4000円という価格設定だ。
この低価格を実現できた背景には、徹底した無人化がある。「チェックインを完全無人化することで人件費を抑え、無駄な装飾やサービスは省いてコストカットにつながげている」という。
スタッフを常駐させる必要がないため、駅前という好立地にもかかわらず低価格が維持できるというのだ。防犯面にも配慮し、複数のカメラを設置。万が一の際には近くのスタッフが対応する体制も整えている。
顧客ニーズに応える新たな形
無人化によって24時間の利便性を高める土産物店。そして、必要最低限のサービスに絞ることで価格に還元するホテル。これらの事例に共通するのは、「客のニーズにどう応えるか」という視点。
敦賀駅前で進む「無人化」は、人口減少を背景に今後も広がりを見せそうだ。
