戦火が広がる中東情勢。
アメリカ軍は、作戦開始から48時間で「1250を超える目標を攻撃した」と発表しています。一方、イランは中東各地に報復攻撃を実施。
攻撃の手を緩めないアメリカやイスラエルの狙いはどこにあるのでしょうか?
イラン 周辺10カ国に報復攻撃
イランは、2日にEU加盟国キプロス、3日にはサウジアラビア・リヤドのアメリカ大使館をドローン攻撃。周辺国10カ国に対して報復攻撃をしていて、緊迫した状況がどんどん広がっています。
『サン!シャイン』では、スタジオに中東情勢に詳しい放送大学名誉教授・高橋和夫氏をお招きし、現況を解説していただきました。

――これは想定されていたことなんでしょうか?
放送大学名誉教授 高橋和夫氏:
専門家はみんな想定していましたが、トランプ政権は想定していなかった感じで「え?」っていう雰囲気がありますよね。

――どんなところから感じますか?
アメリカ側はいつ攻撃するか分かっているわけですよね。そうすると反撃があるんですから、当然、現地にいる市民を退避させているべきですよね。ところが今になって「皆さん危ないですから退避してください」って…、「えっ?」という感じです。順番が逆で。
多分、ポッと攻撃すればイランがバタッと倒れて、反撃もないし戦争もすぐ終わると思っていたんですよね。
イスラエル軍は3日、最高指導者ハメネイ師の後継者を選ぶ88人の聖職者からなる「専門家会議」の施設、イラン中部の都市・コムにある建物を空爆。
さらに、親イラン武装組織ヒズボラの拠点があるレバノンに地上部隊を展開という動きもあるとされています。

谷原章介キャスター:
イスラエルはどんどん自分の敵を攻撃してイスラエル国土も拡大していって、このまま中東は不安定になり続けていくんですか?
高橋和夫氏:
イスラエルにしてみれば、周りの国がみんな不安定になってバラバラになれば、怖いものはなくなりますよね。自分の国だけが安定していて力が強いと。
かつては怖かったイラクをアメリカがバラバラにしてくれた。今、イランがもしかしたらバラバラになるかもしれない。中東におけるイスラエルの一極覇権的な風景が見えてきて、イスラエルにとっては悪くないなと思っているんですけど、現地の人はバラバラになれば不安定で生活が脅かされますし、それがアメリカの国益であるかどうかというのも、かなり怪しいですよね。

こうした中、フランスメディアによると、フランスのマクロン大統領が3日、海軍の空母「シャルル・ドゴール」を地中海に展開。戦闘機や防空システム・航空レーダーなどを展開したと明らかにしました。
また、イギリスのスターマー首相は、キプロスにあるイギリス軍基地が無人機攻撃を受けたことを受けて、ヘリコプターや海軍の駆逐艦などを現地に派遣すると明らかにしています。
トランプ大統領“大規模攻撃”示唆 意図は?
トランプ大統領は2日、CNNテレビのインタビューで「我々はまだ本格的な攻撃を開始していない。大きな波はまだ来ていない。まもなく来る」と大規模な攻撃を示唆する発言をしていました。

キヤノングローバル戦略研究所・上席研究員の峯村健司氏によると、トランプ大統領にとってイランからの報復は予想外で、こうした焦りから報復への仕返しをほのめかしたのではないかということです。
――この発言を受けてイラン側はどう出てくる可能性がある?
高橋和夫氏:
まず、「大きな波」は何を意味するかということですけど、もっと爆弾を落とすということなのか、あるいは、実はイラン・イラク・シリア・トルコの国境地帯にクルド人というマイノリティがいますよね。アメリカ・イスラエルは前からこのクルド人に接近していて、このクルド人を使ってイランをかき回したいということをやってるんです。
アメリカ軍がどこに爆弾を落としたか見てると、クルド人の地域のイラン側の拠点に爆弾を落としてるんです。ですから、もしかしたらクルド人が動き出すというのがトランプさんの言う新しい「大きな波」かもしれないですね。

高橋氏によると、今後もアメリカの攻撃が続くと、アメリカ人観光客の宿泊施設などがイランに狙われる可能性もあるといいます。
イランは少なくとも6人の米国市民もしくは永住者を拘束したと支援団体が明らかにしていて、現在も数千人の米・イラン二重国籍者や永住権(グリーンカード)保持者がいるとされています。
こうした市民を交渉材料として利用する可能性があるといいます。
航空会社欠航・運休で「帰国できない」
航空業界も各社で欠航・運休など混乱が起きている影響で、海外旅行から帰国できないという人もSNS上などで相次いでいますが、帰れないだけでなく、旅行者は思わぬ出費を強いられてしまう現状があります。

航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏によると、戦争などの理由による欠航の場合、別の飛行機などを待つ間の滞在費などは自腹になるといいます。
しかし今回UAE政府などは、乗り継ぎなど中東で足止めされている人の食費と宿泊費などを全額負担すると表明しています。

――世界規模の混乱が起きていますが、その点はいかがですか?
高橋和夫氏:
トランプさんが一番気にしているのはマーケットなんです。ベルシャ湾を通れないでしょ今、保険がかからないから。だからアメリカ政府がそれを負担しようという提案もしてますし、アメリカの軍艦がタンカーを守るからぜひやってくれという。それで動くかどうかは別として。だからトランプさんはイランと戦争するんじゃなくてマーケットと戦争してるという状況ですね。

谷原章介キャスター:
日本の政府としては今回のこの戦争について評価はしないと。調査をするための情報室を開いたりしてますけども、この対応で十分だと思われますか?
高橋和夫氏:
ちょっと出遅れた感じがあって、今のままでいって、もしトランプさんが先にわっと妥協しちゃったら取り残されちゃいますから、トランプさんにしっかりついていかないと最低でも困りますよね。
(「サン!シャイン」3月4日放送より)
