必要な資源を地域で見つける、半径1km以内で行う循環ビジネスとは。
岡山・北東部に位置する人口約1300人の西粟倉村。
村の鶏舎で元気よく走り回る鶏に餌として与えられていたのは、出荷されなかった「野菜くず」や「しょうゆかす」など、餌の材料の多くは利用されずに捨てられるはずのものばかり。
一体なぜなのでしょうか。
西粟倉村は、一時は「将来消滅する可能性がある自治体」の一つとされていましたが、ベンチャー企業を積極的に誘致するなどして2024年、そのリストから外され、今では人口の2割を移住者が占めています。
そんな移住者の1人、羽田知弘さんは2015年に移住し、2年前から村内の耕作放棄地に鶏舎を建て、養鶏業を営んでいます。
株式会社点々・羽田知弘取締役:
狩猟の延長で卵を自給自足したいと思って、鶏を飼い始めた。すごく感動する出来事があって、家で生ごみを捨てることなくなったんですよ。(生ごみを)庭に置いておくと鶏が喜んで食べるんですよね。鶏が庭にいることでごみも出なくなるし、卵も産んでくれるし、そのうんちは畑の肥料になって、またそこで作物を育てて、サイクルがぐるぐる回り始めたというのが原体験。
羽田さんが行っているのは「平飼い」と呼ばれる、鶏が地面の上で自由に動けるようにする飼育方法です。
日本では一般的にケージに入れて飼育することがほとんどで、平飼いの鶏から生まれた卵はわずか1%程度だといいます。
鶏の餌を作る作業場には規格外のくず米や麦、しょうゆの搾りかすなどがありました。
そして、羽田さんに案内されて向かったコイン精米機のドアを開けてみると、大量の米ぬかがありました。
これらは全て、本来ならば使わずに捨てられてしまう未利用資源。
羽田さんはこうした地域の未利用資源を有効活用して鶏の餌を作っているのです。
その後、羽田さんが向かったのは隣町の漬物工場。
お目当ては白菜の外葉でした。
羽田さんは「どうしても飼料だけだと水分がなくなってしまったり、ビタミンとかミネラルがとりにくかったりするので、2日に1回ぐらいのペースで取りに来させてもらっている」といいます。
もらった白菜の外葉を鶏舎に運んできた羽田さんが早速、鶏たちに与えると、大はしゃぎし、われ先にとついばみ始めます。
羽田さんの鶏舎には鶏が約1200羽おり、毎日約700個の卵を産んでくれます。
こうしてとれた卵は、村内の直営店や道の駅などで販売されている他、ミシュランの星付き飲食店にも納入されています。
株式会社点々・羽田知弘取締役:
この集落はもう20世帯40人しかいなくて、半径1kmで大体全てが揃っているんですけれども、売り上げをつくれた、利益を残せた、雇用をつくれたとなったとしたら、きっと他の自治体とか他の地域でも平飼い養鶏をやりたいという方がいらっしゃると思うので、この集落から平飼い養鶏を中心に資源をぐるぐる循環させながら産業と雇用をつくる。
今後は飼育数を3000羽まで増やす他、卵を使った食品の加工場やレストラン、宿泊施設などもつくっていきたいという羽田さん。
小さな集落で大きな夢が広がっています。