京都府南丹市で行方不明になっていた11歳の安達結希さんの遺体を遺棄した疑いで、父親の安達優季容疑者(37)が逮捕された。
捜査関係者によると、結希さんの殺害についても認める供述をしているという。
元警視庁刑事の吉川祐二さんと弁護士の菊地幸夫さんが、今後の捜査について解説。
2人は、結希さんが行方不明になってから「早い段階で安達容疑者の関与が疑われていたのではないか」と述べた一方で、自ら110番通報し、捜索用のチラシを配っていた安達容疑者の行動は「やらなければ逆におかしい」と指摘。
チラシを受け取った人から「容疑者の様子が普通で違和感があった」という声があったことに「そこまで気持ちが入らない」状態が周りの人から違和感を持たれたのだろうと話した。
■事件の経緯は
事件の経緯を振り返る。
先月23日に結希さんが“行方不明”となり、警察の発表では「この日の朝まで生存確認が取れている」とのことだ。
・3月26日 容疑者自宅の家宅捜索
・3月29日 通学用かばん発見
・4月3日 池の中を捜索
・4月7日 自宅付近の別荘地を捜索
・4月12日 靴発見
・4月13日 遺体発見
・4月14日 遺体が安達結希さんと判明
・4月15日 容疑者宅の家宅捜索・親族への事情聴取
・4月16日 安達優季容疑者逮捕

■殺害についても供述しているという安達容疑者
京都府警の会見によると、安達容疑者は死体遺棄容疑について「間違いありません」と認めている。
・遺体を遺棄した場所は南丹市内の複数箇所。
・遺体は“乗り物”で運搬。
・現時点で“共犯者がいる”という供述はなし。
・安達容疑者は結希さんの“養父”=戸籍上の父であることも明らかに。
また捜査関係者によると、結希さんの殺害についても認めているということだ。

■今後捜査はどう進むのか
今後、捜査はどう進むのか。
菊地幸夫弁護士は「殺害についても認めているというが、具体的にどういうシチュエーションで命が失われたのかがまだ出てきていない」と指摘。
人の命が奪われた罪で起訴された場合、裁判で「殺意はなかった」と主張して傷害致死など、より軽い罪の成立を争うことは少なくないという。
そのため、まずは死体遺棄罪について慎重に捜査を進め、その上で殺人罪などでの再逮捕も当然想定されているとの見解を示した。

■安達容疑者の行動「2つの違和感」自ら通報し、自らチラシを配った
安達容疑者の行動には2つの違和感が指摘されている
1つ目は、自ら110番通報をしていたこと。
「学校まで子どもを送っていったが、迎えに行くと学校に来ていないと言われた」と通報しましたが、警察が防犯カメラで確認できたのは、車が学校の「近くまで来ていた」という事実だけ。死体遺棄を認める一方で「学校まで送り届けた」と矛盾する供述をしている。
2つ目は、自ら捜索用のチラシを配っていたこと。
チラシを受け取った人は「容疑者の様子が普通で違和感があった」「怖いくらい冷静だった」と話している。
吉川さんはこの行動について「チラシ配りや110番通報はやらなければ逆におかしい。親であれば110番通報もチラシ配りもごく自然なこと。自分に対する隠蔽工作である可能性はあるが、やったほうが自然に見受けられる」と分析した。
菊地弁護士も「万が一でも警察の捜査の目が自分以外に向けば、例えば事故や遭難などの可能性を期待したのだろう」とした上で、「ただ、普通の状態でいられるという部分が、そこまで気持ちが入らないと周りの人には映ってしまったのだろう」と語った。

■安達さんの行方不明から3日後に容疑者宅の自宅を捜索
警察は、安達さんが行方不明になって3日後に安達容疑者の自宅を捜索。
敷地内にはマーカーが置かれ、残された痕跡の捜査が行われ、車の運転席や助手席なども数人がかりで調べられていた。
吉川さんは「車にも目星をつけていることから、車を使って何らかのことをやったのではないかという嫌疑を持っていたと思う」と指摘。
遺体が発見されていない段階でも、「車内に結希さんの髪の毛や洋服の切れ端がないかなどを捜索していた」のではないかと話す。
菊地弁護士は警察の動きと容疑者の心理を次のように推測した。
菊地幸夫弁護士:事件後3日で家宅捜索が行われ、安達容疑者は自分が疑われているかもしれないと感じた。(捜査の目をほかに向けるために)通学用かばんを置いてみる。
池の捜索など自分から離れていった。安心したところに車を使って遺体の状況を確認した。そのような動きを警察が察知して、自宅近くの山の捜索でぐっと警察が迫ってきた。
そこで靴を遺棄、あるいはご遺体を動かしたのかもしれない。ところがそういう動きは警察が察知していて、靴の発見から遺体発見へとつながったのかもしれない。
靴の発見までは「ある程度時間がかかっている」一方で、遺体発見からはわずか数日での逮捕に至ったことについて、吉川さんは「ご遺体が発見された以外にも、なんらかの確証を警察は入手した可能性が高い」と分析する。

■「親子間のトラブルはなかなか外に出しにくい」と吉川氏
さらに吉川さんが注目したのは、家宅捜索の際の警察の対応だ。
「捜索差押許可状による捜索では立会人を置くのが原則。本来なら両親が立ち会うところ、捜索が始まってすぐに父親を任意同行している。その時点で警察はこの父親を調べなければならないという気持ちだった」と、逮捕に向けた強い意志が読み取れると指摘した。
吉川祐二さん:警察は事件発覚当初から父親の存在を非常に重要視していたのはほぼ間違いない。対外的には事件と事故の両面で捜査するとしていたが、内部ではある程度父親に注目していた。
親子間のトラブルはなかなか外に出しにくいもの。トラブルの相談がなかったという警察発表だけで、トラブルがなかったと肯定することはできない。

■「早い段階で安達容疑者の関与が疑われていたのではないか」
現時点で共犯者についての供述はないとされていますが、菊地弁護士は結希さんの行方不明から早い段階で、安達容疑者の関与が疑われ、警察による「行動確認」が行われていた可能性を指摘し、次のように述べた。
菊地弁護士:容疑者を尾行なり、行動確認していたにもかかわらず、いきなりリュックが出てきたということは、違う人間が証拠隠滅に関わっていた可能性もないとは言えない。だから『現時点で』という言葉が入っている。
第三者が関与した可能性が完全には排除されていないことを示唆した。
(関西テレビ「newsランナー」2026年4月16日放送)
