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プレスリリース配信元:株式会社三菱総合研究所
専門的見地から日本の実態を踏まえた実効性の高い制度設計を提案
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、GHGプロトコルが実施したScope 2に関するパブリック・コンサルテーションに対し、日本のエネルギー政策や電力市場の実態、企業の算定実務や脱炭素経営への影響を踏まえた見解を整理し、意見を提出しました。
1. 背景
温室効果ガス(GHG)排出量算定の国際基準であるGHGプロトコルのScope 2(※1)改定を巡り、企業の算定実務や再生可能エネルギー調達に影響を与える議論が、国際的に進められています。改定プロセスの一環として、2025年10月から2026年1月にかけ、Scope 2およびAMI(※2)に関するパブリック・コンサルテーション(※3)が実施されました。Scope 2の算定ルールの見直しは、企業のGHG排出量算定や目標設定、情報開示、さらに脱炭素に向けた取り組み全体に幅広い影響を与えることが想定されます。
MRIは日本の再エネ政策や企業の脱炭素対応への影響が大きいと考えられるScope 2の見直しに対して意見を提出しました。
2. 概要
Scope 2に関するパブリック・コンサルテーションで特に注目されているのは、電力の時間的・地理的な実態と、Scope 2の算定結果との整合性をどのように高めていくかです。マーケット基準(※4)とロケーション基準(※5)の2手法のうち、前者では下記の要件や概念の導入が主要なテーマとして挙げられます。
- アワリーマッチング:発電と電力消費の「時間的な一致」を、より細かい単位で捉える考え方
- 送電可能性(Deliverability):主張する環境価値が、実際に供給され得る電力に基づいているかを確認する考え方
- 標準供給サービス(SSS:Standard Supply Service):環境価値が特定の企業に帰属せず、複数の需要家に按分される電源の取り扱いに関する考え方
MRIは、GHGプロトコルの算定ルールについて、排出実態の適切な反映や国際的な整合性を確保しつつ、各国の制度や市場環境、企業の実務に配慮した形で検討が進められることが重要との考えのもと、意見を提出しました。
提出した意見の内容(抜粋)
アワリーマッチング
将来的にScope 2算定の精度向上につながる考え方として評価しています。
一方で、現時点での一律適用は、企業への過度な負担や算定結果の不整合が生じる恐れがあります。そのため、段階的な導入や経過措置の設定、合理的な負荷プロファイル手法の整備、公的主体によるデータ基盤の充実など、実現可能性への十分な配慮を前提とすることが重要であると考えます。
送電可能性(Deliverability)
Scope 2の信頼性を高めるうえで重要な考え方であると評価しています。
一方で、日本の電力市場や系統運用の実態を踏まえず、形式的に市場境界を適用した場合、再生可能エネルギーの広域的な調達や将来の投資を阻害する可能性があります。日本の実態や条件を踏まえ、送電可能性の原則が実態と乖離せず、かつ再生可能エネルギーの導入を後押しする形で解釈・運用されることが重要であると考えます。

出所:GHGProtocol 「Public Consultation- Scope 2」より三菱総合研究所作成 https://ghgprotocol.org/sites/default/files/2025-10/GHG-Protocol-Scope2-Public-Consultation.pdf (閲覧日:2026年2月3日)
3. 今後の予定
MRIは、国際的な議論の動向を継続的に注視しながら、日本の制度や市場環境を踏まえ、企業の実務や事業検討への影響整理に取り組みます。今後も、算定ルールの検討・整理にも携わってきた知見を最大限に生かし、調査・助言・情報発信を通じて、脱炭素経営および脱炭素関連ビジネス、再生可能エネルギー政策の高度化を支援します。
※1:Scope 2:企業が購入した電力・熱・蒸気などの使用により間接的に排出される温室効果ガス。
※2:AMI(Actions and Market Instruments):企業の物理的なGHG排出量インベントリには直接反映されない、排出削減・除去への投資や証書・クレジット等の市場的手段による取り組みを、補完的に把握・報告するためにGHGプロトコルが検討している新たな枠組みである。それらを適切に示すための報告構造として、マルチステートメント型GHG報告についても検討されている。
※3:パブリック・コンサルテーション:ルール改定に際し、世界中のステークホルダーから意見を募集するプロセス。
※4:マーケット基準:企業が「どのような電力を調達したか」に基づき排出量を算定する方法。企業の調達行動を排出量に反映できる点が特徴。
※5:ロケーション基準:「どこで電力を消費したか」に基づき排出量を算定する方法。個別の電力調達手段に依らず地域全体の電力供給構成を反映する点が特徴。
リリース全文
https://www.mri.co.jp/news/press/i5inlu000003atgx-att/nr20260216.pdf企業プレスリリース詳細へ
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