平成最後の桜の季節を迎えた2019年3月27日、東京・銀座にてイベント「道後 REBORN in 銀座三越 オリジナルアニメーション『火の鳥”道後温泉編”』制作発表」 の記者会見が行われた。

会見には松山市の野志克仁市長、道後温泉本館の保存修理工事プロジェクトのシンボルとしてコラボレーションする「火の鳥」の版権を管理する手塚プロダクションの、手塚るみ子取締役、そして愛媛県出身の国民的声優である水樹奈々さんが出席。
 

 
 
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会見は、野志市長による「道後 REBORNプロジェクト」についての発表からスタートした。

野志克仁市長:
REBORN、リボーンには、復活する・再生するという意味合いがございます。私どもの道後温泉本館でありますが、国の重要文化財の公衆浴場でございます。またジブリ映画の『千と千尋の神隠し』の湯屋のモデルのひとつとなった、松山市営の温泉となります。いま世界からお客様来ていただけますので、松山の宝というだけでなく、日本の宝、世界の宝と言えようかと思います。

その道後温泉本館ですが、完成して125年という建物になっておりますので、だいぶ痛んできているところもございます。放っておいて壊れてしまった、ではいけません。将来の世代、子どもや孫の世代にこの宝をしっかりと受け継いでいくためにも、道後温泉の保存修理工事に1月15日から入っております。

「工事か」と言ってうつむいてしまうのではなく、「工事中だからこそできることもありますよね」と、情報発信をしていこうということで、手塚プロダクションさん、そして水樹奈々さんにもお力添えをいただいて、『道後REBORNプロジェクト』を様々に展開しているところです。

また、今日は会場に展示しておりますけども、実は1年3ヶ月前にオープンいたしました「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」という新しい温泉もできております。世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、日帰り温泉(スパ)ランキング2018にて、この飛鳥乃湯泉が初登場7位となっておりました。この道後REBORNプロジェクトも、道後でのアート事業も、道後温泉別館 飛鳥乃湯泉も好評でございます。
ぜひとも皆様方には道後に足を運んでいただけたらと思います。


続いて、手塚プロダクション取締役の手塚るみ子さんが、道後温泉と「火の鳥」のコラボレーションについて発表した。

手塚るみ子さん:
愛媛県の、松山市のシンボルでもあり、日本最古の温泉と言われております道後温泉本館の再生のために、私の父である手塚治虫の名作「火の鳥」をシンボルキャラクターとして、今回起用していただけるというお話を最初にいただいた時に、本当に喜ばしく、ぜひお力になりたいなと思ってお引き受けいたしました。

手塚プロダクションとしまして、今回のプロジェクトでは「火の鳥」のオブジェを道後温泉本館の前に設置し、また久々に「火の鳥」のオリジナル映像作品を「道後温泉編」として作らせていただいております。

これ以外にもプロジェクションマッピングがあったり、様々なグッズを作ったりと、いろいろな展開がこの先待っていると聞いております。
ぜひ道後温泉を訪れる方が、ここから「火の鳥」の面白さを知りながら、温泉の歴史、文化、そこに暮らす人々のことを少しでも思っていただけたらなと思っております。



その後、道後REBORNの事業責任者である株式会社ポニーキャニオンの熊谷伍朗氏から、手塚プロダクションが制作中のオリジナルアニメーション「火の鳥“道後温泉編”」の予告編が初公開された。

日本最古の湯と言われ、歴史に多くの足跡を刻む道後温泉と、手塚治虫がライフワークとして描き続けた「火の鳥」のコラボレーション作品。遠い過去から遙かな未来まで様々な時代を行き来し、それぞれの時を生きるキャラクターたちの壮大な物語「火の鳥」の、新たなるスピンオフ作品となる。
今回制作された「プロローグ『大国主と少彦名』(オオヌニヌシとスクナヒコナ)」と第1話「聖徳太子、来浴」の出演者も発表に。
大国主には俳優のつるの剛士さん、少彦名には声優の三森すずこさん、そして今回の火の鳥役に水樹奈々さんという、豪華なキャスティングとなることが発表された。

永遠の生命のシンボルである「火の鳥」役を、今回演じることになった水樹奈々さん。収録の感想を聞かれると、こう語った。

 水樹さん:
非常に緊張しました!人智を超えた存在、そして何度も転生を行い、いろいろな方々や歴史に触れてきた存在。もうすべてを包み込むような、愛に満ちた存在ではなくてはいけないですし。でも時に厳しさがあり、すべてを見守っていく包容力を持った声の表現ができるのかというところで、すごく緊張して収録に臨みました。特別な難しさがある役でした。
 

 
 

しかし、アフレコ時のエピソードを聞かれると、「皆さんと一緒に収録させていただけたので、すごく楽しかったです。緊張感もありましたが、すっとその世界に入ることができました。自分で言うのも何ですけど、出来映えはバッチリだと思います!(笑)とても楽しんでいただけるものに仕上がっていると思いますので、早く見ていただきたいです。」

また、手塚作品についての思いについて聞かれた水樹さん。

水樹さん:
小さい頃から慣れ親しんできた作品も多いですが、読んでいく中で、自然といろいろな気づきや、気づくきっかけをいただける作品だなと思います。人間のいいところ・・・美しい光の部分だけじゃなくて、闇を抱えている部分、そして歴史の中でどうしても避けては通れない悲劇や苦しみだったり。そういったものも自然と学ばせていただき、そして気づかせてくれる。自分にいま何が出来るんだろうということをいつも考えさせてもらえる、そんなとても強いメッセージがある作品だなあといつも思っています。子どもの頃に読むのと、大人になってから読むのとではまた受け取り方が違って、何度でも読みたくなるなと思います。


そして、手塚るみ子さんは、道後温泉に対する思いを語った。

手塚さん:
お湯がものすごく良いということと、日本最古の湯、本当に昔の方が浸かっていたお湯がいまだに出ていて、地球の力は本当に素晴らしいなと。また、それを生かす人間の知恵や工夫もすごいなと思っています。そして2015年に、蜷川実花さんが写真でコラボレーションをなさっていたのを拝見したこともありました。道後温泉が非常に古い建物でありながら、新しいモダンなものとのコラボレーションによって美しい姿を再生させるということを、その時にすごく感じておりました。まさかこういった形で話がつながるとは思いませんでしたが、今回の「火の鳥」のコラボレーションでも、また新しい道後温泉の姿をお見せできるんじゃないかなと思っております。

 

 
 

そして、記者会見も終了の時間となり、最後にひとことずつ挨拶を頂いた。

水樹さん:
まずいちど道後温泉に足を運んでいただきたい、その思いでいっぱいです。東京の方にお住まいの皆様だと、行ってみたいけど、なかなか行く機会がないという方も多いと聞きます。でも写真や映像では感じられない、道後にしかないものがたくさんあると思います。ぜひゆったり、すっきりと疲れを癒やして、エネルギーをいただいて欲しいです。愛媛県には美味しい食べ物もたくさんありますので、心身ともにパワーをチャージしに、道後温泉に足を運んでいただければなあと思います。

手塚さん:
これから道後温泉本館が新しい姿を見せるまでの期間、『火の鳥』が様々なかたちで現場をキレイに彩っていくと思います。逆に言えば、本館が再生するまでの限られた期間のみとなりますので、ぜひ開催期間に足を運んでいただいて、二度と見ることがないであろう『火の鳥』と『道後温泉』のコラボレーションの妙を味わっていただければと思っております。

野志市長:
私は宝塚市の手塚治虫記念館で勉強させていただきましたが、『火の鳥』は手塚治虫さんが、その作家活動の中で、約40年間ずっと描き続けた特別な作品であります。今回、道後温泉の保存修理工事をしておりますが、復活する・再生する・救世主を求めているという点が『火の鳥』と重なるというのは、不思議なご縁だと思っております。海外から来られるお客様たちにも『アストロボーイ』の名前で知られる『鉄腕アトム』を生み出した日本のアニメーションの祖である手塚治虫さん、その『火の鳥』との出会いは、本当にありがたかったなと思います。

最後に、これは初めてご披露するデータです。全国ではこういう工事に入って「客足が50%ダウンになった」といったところも実際にあるわけですけども、道後エリアの1月15日から3月15日までの2ヶ月間のお客様の数は、わずか9%のダウンにとどまりました。今まで道後アート事業や、飛鳥乃湯泉を作って良かったな、そして何よりも、道後リボーンプロジェクトをやってきてよかったなと思っています。本当にありがたいなと思っております。最後に皆様、道後へ、どうご!ということで、どうぞよろしくお願い致します。


なお、本日の記者会見で初公開された「火の鳥“道後温泉編”」の予告編は、銀座三越のイベント会場、および道後REBORN公式サイト( https://www.dogoreborn.info/ )、ポニーキャニオン公式YouTubeチャンネルにて公開。アニメーション本編「プロローグ『大国主と少彦名』」(約2分)「第一話『聖徳太子、来浴』」(約3分)は5月24日(金)より配信予定。

4月27日からは道後温泉とネイキッドがコラボした、道後温泉本館のプロジェクションマッピング「道後温泉×ネイキッド MESSAGE ‐火の鳥到来‐」もスタート。こちらは毎日19時から21時30分まで、道後温泉本館前にて無料で観覧可能。