『蜘蛛の糸』が切れても地獄に落ちず

「新党が『蜘蛛の糸』のような形になっては意味がない」と言っていた小池さん。
安保政策で「選別」「排除」を行い、蜘蛛の糸をちょきんと切ってしまった。
僕の言うとおりにしてくれてありがとうございました。

ただ糸を切られて落とされた人たちは、芥川龍之介の小説では地獄に行くのだが、
どうやら地獄に行っていないようだ。

朝日新聞の調査では比例投票先で≪立憲民主党≫が7%も取り、驚いた。
≪希望の党≫は、逆に13から12に減ってしまった。
 

地獄よりは「新党」へ

ただ、≪希望の党≫に行かず≪立憲民主党≫に行った人たちが筋を通したというのは真っ赤な嘘。みんな≪希望の党≫に行きたがっていた。

前原氏の提案を満場一致で賛成していたのだ。
小池さんに拒否されて蜘蛛の糸をちょきんと切られたから、仕方なく新党を作ったというのが真相。
そこは間違えないほうがよい。

だから辻元氏は「私は≪希望の党≫に行かない」のではなく「行けない」が正しい。
しかし政策が違うのに頭を下げて小池さんのところに行く人たちよりはまだましだと国民は考えたのだろう。
自民党と二大政党を争うような大きな政党になるのはたぶん無理といえよう。
 

小池さん、出馬するしかないよ!

ところで、この立憲民主党の現時点での意外な人気を一番喜んでいるのは実は自民党だ。

まず、小池さんと≪希望の党≫が悪者になり人気が下がる。
そして、野党が二つの勢力に割れれば、特に小選挙区では≪自民党≫が漁夫の利を得て有利。

今ごろ、安倍政権の人たちは皆喜んでいる。

追い込まれた小池さん、挽回するには自分で出馬するしかないんじゃないかな。
10日の公示まであとわずかだが、小池さんの決断にかかっている。
 

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。