先月以降、秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまのご活動が増えている。最近、長かった髪を少し切り、毛先を柔らかいカールにされ、緑化、障害者ダンス、児童書など様々な分野の行事に取り組まれている。きょうはそんな中でも、6月3日に出席された「産経児童出版文化賞」でのおことばに注目したい。

自分自身の感想を表現 ”佳子さまカラー”

この賞は、子供たちに優れた本を紹介するため、昭和29年に創設され、70年近い歴史を持つ。母の紀子さまが長年携わられ、お代替わりに伴い佳子さまが受け継がれた行事で、2019年に初めてご出席、翌年はコロナ禍で贈賞式は中止、去年はオンラインで出席しビデオメッセージを寄せられている。

「産経児童出版文化賞」贈賞式に出席された佳子さま(6月3日)
「産経児童出版文化賞」贈賞式に出席された佳子さま(6月3日)
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初出席の際も今回も会場で取材をし、去年のビデオメッセージも拝見して、おことばの内容に変化を感じた。読書や児童書への思いを、よりご自分の言葉でご自分らしく伝えようとされていた。

去年のビデオメッセージよりも1分近く長く、7分強にわたってお話になっていた今回のおことばでは、導入部分で「読書のおもしろさの一つは、読んだ人が自分自身の感想を持てることだと感じます」というこれまでには無いフレーズがあった。どんな“佳子さまカラー”が見えてくるのかと期待が高まった。

“ネタバレ”に配慮

「これから受賞作を読む方の楽しみが減らないように気をつけながら、各作品についてお話したいと思います」紀子さまの頃から毎回、受賞作品8作全てについてあらすじと感想を述べられている。その感想の導入に、このようなフレーズが付け加えられていた。

「産経児童出版文化賞」贈賞式に初めて出席された佳子さま(2019年6月)
「産経児童出版文化賞」贈賞式に初めて出席された佳子さま(2019年6月)

このフレーズも、これまでには無かったもの。“ネタバレ”に配慮されていることをユーモアを交えて伝えられたのは、行事との関わりを重ねられる中で、余裕が生まれ、ご自分らしさを少しずつにじませられているのではないかと感じた。

姉との絆

受賞作品の中には、姉妹の絆がテーマの作品もあった。小学2年生の妹が2歳年上の姉との関係を綴った物語だ。「時にはけんかをしながらも、お互いのことが大好きで、信頼しあう、二人の強い絆が伝わってきました」

姉の小室眞子さんの結婚を巡っては、旅立つ姉を笑顔で抱きしめて送り出し、記者会見の会場の控室まで付き添われるなど、姉妹の強い絆と妹の支えは大きな話題になったことも記憶に新しい。自分の経験と重ね合わせたり、共感するというのもまた読書の醍醐味。眞子さんと過ごした年月を思い出しながら、この作品を読まれたのではないかと想像した。

秋篠宮邸を後にした眞子さんと佳子さま(去年10月)
秋篠宮邸を後にした眞子さんと佳子さま(去年10月)

一冊の本が生まれる背景に思いを寄せ

「様々な専門家の方々の想いと力が合わさって、一冊一冊の本が作り上げられますことを感じるとともに、素晴らしい受賞作が、本日表彰され広く紹介されますことを喜ばしく思います」佳子さまは、大学の卒業論文で人間の読解力について考察しているほか、ご両親が国内外への訪問で留守にされた際、弟の悠仁さまが幼かった頃には、絵本を読みきかせられた経験がおありだ。

2012年・悠仁さま6歳の誕生日
2012年・悠仁さま6歳の誕生日
2012年・悠仁さま6歳の誕生日
2012年・悠仁さま6歳の誕生日

成年皇族となり、初めて出席した2015年の歌会始では、その経験を「弟に本読み聞かせゐたる夜は 旅する母を思ひてねむる」と和歌に詠まれている。幼い頃には母に絵本を読んでもらい、成長と共に自分で本を読む楽しみを知り、弟が生まれてからは読み聞かせる立場も経験された。

そしてこの行事との関わりを通じて、作家、作画者、編集者など様々な立場の人の力が結集して1冊の本が出版されることを実感し、本が生まれる過程にも思いを致されたのだろう。