家事、育児、そして仕事、と世の中のママやパパはめまぐるしい日々を過ごしている。朝の準備、出かける支度、食事中も思うように子どもが動かないと、「早くしなさい!」「準備しなさい!」と口から出てしまうときもあるだろう。

根本には「自分でできる子になってほしい」という思いもあるかもしれない。しかし、「しなさい」は逆効果なのだ。

ボーク重子さん
ボーク重子さん
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現代社会で必要とされる自己肯定感や自制心、好奇心など非認知能力を育みながら、「自分でできる子」が育つメソッドについて記した『しなさいと言わない子育て 普段の育児のままで子どもが変わる小さなしかけ』(サンマーク出版)の著者・ボーク重子さんに、 “自発的に行動できる子”の子育てについて聞いた。

 「しなさい!」と言ってしまうのは自分にも言っているから

子育ての中で、つい「しなさい!」と尻をたたくような発言をしてしまうことがあるだろう。だが、「しなさい」と言った瞬間にやらなくなる。

これは「心理的リアクタンス」と言われる心理反応で、「しなさい」と言われると自分の行動や思考に制限をかけられたと感じて反発してしまうのだという。

「宿題をやりなさい」と親から言われた途端にやる気をなくすのがまさにそれ。「やりなさい」と命令することは、子どもに“やらせている”ことになり、やりたいことを自分で決める楽しさや、それができる自信を奪うことになる。

ボークさんいわく、「『しなさい』と言った瞬間に、やってみたいという好奇心や自らやろうと思う主体性、そして『できる』と思える自己効力感などの非認知能力を育む環境を奪っている」。だからこそ、頭に入れておきたのは言い換えること。

例えば、朝の準備ができていない子に対して、「早く準備しなさい」ではなく、「一緒にやってみよう」「かばんに荷物を入れてみよう」など提案型に言い換えてみる。大切なのは、命令するのではなく、行動に対する意思決定や選択を子どもに与えること。

「しなさい」と言わないことが、自分でできる子への第一歩なのだ。