しかし、「しなさい」という言葉は瞬発的に出がち。だからこそ、ボークさんは親のマインドチェンジが必要だと言う。

「子育てはとっさの連続です。言い換えることも冷静な時は、言葉のレパートリーが出てくるでしょう。しかし、出てこないのは“とっさ”だから。“とっさ”のときに出る言葉は、いつも自分に言っている言葉。

自分に対して『これできてない、やらなきゃ』などできていないことやダメなところにばかり目を向けて、“しなさい”と課しているため、他者にも求めてしまう。親が自分にそう声かけしているんです。自分へ向ける言葉を“今日はあれができた”などポジティブな方向に変えるだけで、とっさの声かけも変わってきます」

また、私たち自身が「こうしなさい、ああしなさい」という親からの命令と指示で育ってきたということも「しなさい」という声かけになる理由の一つでしょう。子どもの非認知能力を育むためには私たちの世代で命令・指示という声かけを止めることが大切。

同じように「ダメ!」という言葉も、反射的に出がち。しかし、命や健康を脅かしたり、社会のルールに反していることではない限り、真っ正面から否定しないこと。大人も「ダメ!」と突然言われたら、驚き、納得できないはずだ。

瞬発的に「ダメ!」と言葉が出ても、必ず「なぜダメなのか」を論理的に説明することが大切だという。

親は「聞き役」に回ることが大切

子どもとのコミュニケーションで、親は子どもの話を聞いているようで、無意識に話していることも多いはずだ。親は8割聞いて、2割話すこと。つまり「聞き役」の姿勢でいてほしいとボークさんは言う。

人は話すことで自分の気持ちや考えを確かめる。会話の途中で遮ったり否定・批判・非難したりすると、子どもの自己肯定感の低下にもつながってしまう。たとえ、話していることが間違っていても、まずはしっかりと話を聞いて肯定し、受け止めることが大切なのだ。

(画像:イメージ)
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否定せずに「どうしてそう思うの?」などと理由を聞いたりすることがベスト。もし、言葉に詰まってなかなか話し出せなくても、じっと待つこと。もしくは、助け舟として子どもが話し出せそうな「質問」を投げかけてみてもいい。

子どもとのコミュニケーションにおいて、自由に表現できる環境をつくり、子どもが「聞いてもらえた!」と思う気持ちを持てることが大事だという。

「聞き役」に徹しながらも子どもとの会話で心掛けたいのが質問すること。人は質問されることで初めて考え、意見を持つ。その機会をつくるためには、親の「質問」がカギとなる。