ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナから新潟県小千谷市に避難してきた夫婦。来日して半年近くが経ち、夫婦は小千谷の人たちとの交流を深めながら自立の道を歩んでいる。
夫・サリフさんは養鯉場でアルバイトを
5月、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナから小千谷市に避難してきたムタル・サリフさんとイリナ・シェフチェンコさんの夫婦。
この記事の画像(16枚)イリナ・シェフチェンコさん:
これは私のふるさと、ドニプロ
10月には、ウクライナの魅力を伝える市民向け講座を5回シリーズでスタート。地域との交流に取り組むほか、自立への道を歩んでいる。
10月13日朝、Tシャツ姿で現れたサリフさん。
ムタル・サリフさん:
働けて、とてもうれしい。みんな優しくしてくれる
軽トラックの助手席に乗り向かったのは、小千谷市の山にある養鯉池。ここで、サリフさんは成長したニシキゴイを引き上げる仕事を手伝っていた。
サリフさんは日本語の先生に紹介され、9月から小千谷市の伊佐養鯉場でアルバイトを開始。週5日、作業の補助や道具の片づけなどを担当しているほか、外国人バイヤーとの通訳としても期待されている。
伊佐養鯉場 伊佐光徳 社長:
この2年間、外国ディーラーは日本のニシキゴイを見たがっていたが、ずっと我慢していた。ようやく、この秋から徐々に入ってきているので、そういったところで会話ができれば
一方のサリフさんにも切実な事情があった。ウクライナから避難してきたとはいえ、サリフさんはガーナ国籍。ウクライナ国籍であれば受けられる生活費などの公的支援の対象にはなっていない。
ムタル・サリフさん:
夫婦2人の生活費やガーナの家族への仕送りが必要。たくさんの人が私を頼っていて、養わなければいけない。お金を稼ぐのにも、いい仕事
ウクライナで研修医として働き出した矢先に軍事侵攻が始まったサリフさん。
ムタル・サリフさん:
楽しい。仕事は楽しい
医師として働く夢は諦めていないが、まずは日本での自立に向け、汗を流している。
妻・イリナさんは子どもたちと募金活動
一方、子どもたちに混ざり、ウクライナ支援のための募金を呼びかけていたイリナさん。
イリナ・シェフチェンコさん:
子どもたちは本当にすばらしい。とても感謝している
9月に講演した縁でこの日、長岡市の豊田小学校で行われた平和学習の成果を発表するイベントに招かれていた。ここで児童が平和への願いを込めたメッセージソングを披露。
イリナさんはウクライナ東部の町・ドニプロに両親を残していて、心配は尽きないが、このときばかりは子どもたちの歌で明るい気持ちになったようだ。
イリナ・シェフチェンコさん:
素晴らしい子どもたちの姿を見て、世界の未来を信じたくなった
児童:
長岡は今、平和だけど、ウクライナは戦争で大変なので、自分もウクライナのために何かできたらいい
サリフさんとイリナさん。ウクライナへの変わらぬ思いを抱きながら、多くの人との関わりの中で小千谷での暮らしを確かなものにしている。
(NST新潟総合テレビ)