新型コロナ治療薬の「ゾコーバ」だが、4月から、約16,000円の自己負担が必要になる。新型コロナへの支援制度が大きく変わるのだ。
新型コロナが5類相当の感染症となってから、約10カ月。
感染者数は、2月に入ってから減少傾向にあるものの、3月6日、取材した葛西医院の小林正宜院長は「先週末から今週にかけては、ちらほら。またコロナ患者さんがいらっしゃる状況。あまり、どんどん減っていっている印象はありません」と話す。
■3月末で新型コロナの公費負担が終了

国は5日、新型コロナの治療薬や医療提供の体制について、公費でまかなってきた支援を3月末で終了すると発表した。
これによって、新型コロナをめぐる「お金」のルールが、大きく変わる。
・病床の確保に協力した病院に支払われてきた交付金が、廃止になり、コロナ患者を一般病床で受け入れるなど、通常の医療体制へと移行。
・入院費は月に最大1万円の補助がなくなり、個人の負担は増加。
■自己負担が大きくなるのは「不安。普通の風邪薬で済ませる」

特に大きな影響が出そうなのが、「コロナの治療薬」だ。
3割負担の人がコロナ治療薬のゾコーバを処方してもらうと、これまで9,000円ほどだった自己負担が、約16,000円と大幅に増えるのだ。
葛西医院 小林正宜院長:
必要な患者さんには提案をしますけど、『これぐらいの費用がかかるのであれば、やめておきます』という人も中には出てくる。処方数は減っていくと(思います)。
街の人は「仕方ないでしょ。(かかっても)あまりひどくなるなら、病院に来させてもらうし、そのまま終わるんであれば、家にこもってたらいいかな」という人や、「生活的にも不安があるし心配です、かなり。(Q.医者に行くの控える?)普通の風邪薬で済ませるんじゃないか」と話す人もいた。
小林院長は、「今後は年齢や症状を見極めながらの治療が求められる」と話す。
葛西医院 小林正宜院長:
高い薬でも効果は大きいので、それをしない(薬をのまない)ことで、入院したり命の危険にさらされると考えると、1万円を負担してでも、飲んだほうがいいでしょう。しっかり患者さんの投薬対象を見極めることが、必要かと思います。
■新型コロナの治療薬の負担は16000円~

4月から新型コロナは通常の医療体制での対応に完全に移行され、医療費負担が増えることになる。どれぐらい増えるのか見ていく。
まずは、薬(窓口負担が3割で、処方5日分の場合)について。
2023年9月までは無料だったが、現在はどの薬でも9,000円かかる。
そして4月からは、ゾコーバは約16,000円、ラゲブリオは約28,000円、パキロビッドは約30,000円の自己負担をすることになる。
症状や重症化リスク等に応じて、処方される薬は変わってくるが、これは負担が大きいと感じる方も多いと思われる。
■ワクチンは3月中に 4月以降は過度な薬控え、受診控えをしない

そしてワクチンの負担額も増える。
現在は無料で受けることができるが、4月からは任意接種の場合で、7000円を超えてくる可能性がある。
葛西医院の小林院長は、「感染のしやすさは変わらない。高齢者でワクチンを最近打っていない人は無料のうちに」と話す。
医療費負担が変わっても、新型コロナの危険性は変わらないので、引き続き注意が必要だ。
関西テレビ 加藤さゆりデスク:
薬控えだけでなく、これを機に“受診控え”になってしまうと、新型コロナの感染のしやすさは変わっていませんので、ちゃんと治療をしないと、結局また感染を広げてしまうというリスクを生むだけなので、必要な場合はちゃんと病院に行くということを、心がけていただきたいと思います。
新型コロナの感染力は変わらないけど、特別扱いは終わるということだ。
みなさん冷静に判断して、過度な薬控え、受診控えをしないでほしい。
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月6日放送)