能登半島地震の発生からまもなく8カ月。大きな転換点となりそうな動きが馳知事から発表された。5つの市と町に設けられた1次避難所、34カ所を原則、9月末で閉鎖する方針を示すと共に、2次避難所も年内には閉鎖すると言う。果たしてそれは可能なのか、避難所の声を聞く。
馳知事が1次避難所を9月末で原則閉鎖方針を公言
この記事の画像(12枚)馳知事は28日の記者会見で「応急仮設住宅の状況については9割が8月末に完成し、カギをお渡しできる状況となりました。これを踏まえて基本的には1次避難所は原則として、9月末の解消を目指しております。」と述べ、1次避難所を原則、9月末で閉鎖する方針を示した。
8月27日時点で1次避難所は、5つの市と町であわせて34カ所、398人が身を寄せている。一方で、仮設住宅は8月中に要望の9割にあたる6233戸が完成する予定だ。しかし避難所は、仮設住宅が完成したら閉鎖できるというわけには行かないようだ。
仮設住宅ができても避難所を離れられない理由
珠洲市の宝立小中学校にある避難所で聞いた。ここは今も24人が避難生活を送っている。避難所の責任者、多田進郎さんは、いつ上下水道が家の方に復旧して家の方に帰れるのか、仮設に行けない人は自宅の上下水道の状況がどうなっているのか心配していると話していた。
この地区は、建物の倒壊などが多く、水道の早期復旧困難地域。避難所に身を寄せる人の中には、建物は無事でも水道が復旧していないため自宅に戻ることができない人も含まれている。
このため多田さんは、「上下水道復が完全に復旧していないのに避難所を閉鎖すると言われても、その人達は行く場所が無くなってしまう。そんな辛いことは行政はしないと思うので、柔軟な対応をすると思うし、そうするべきだろう。どこも行くところがないんだから」と話していた。
こうした声に対し、馳知事は会見で「行き場所がないのに出ていけということは絶対しません、1次避難所を集約するということで対応せざるを得ないと思っております」と答えている。
最後の一人が笑顔で「次決まったよ」と言うまで…
一方、遠く加賀地区のホテルなどに避難する2次避難者や、県外の公営住宅に避難した人についても馳知事は年内の解消を目指すと公言した。
加賀市山代温泉にある「みやびの宿 加賀百万石」現在も約30人の避難者を受け入れている。馳知事の今回の方針を、聞いてみた。輪島から避難している人は「さすがに2次避難所もホテルですし、応援割もあるのでそれは仕方ないかなと思います」と理解を示す。一方で、珠洲から避難している人は、「ここまで2次避難が長引くとは思っていなかった。自分はめどが立っているが、この先どうすればよいか悩んでいる人もいるので、そういう人には少しプレッシャーになるのでは」と懸念を示す。
こうした中、加賀百万石の西直幸専務は、「避難している最後の人が、帰れる場所ができた時に笑顔で次が決まったよというところまでお付き合いしたいなと思っている」と話し、例え馳知事が示す年内という区切りを越えたとしても、最後の一人まで受け入れる思いを話してくれた。
能登半島地震の発生からまもなく8カ月。石川県には引き続き、被災者に寄りそったきめ細かい対応が求めらている。
(石川テレビ)