背後からの妨害に悩むロシア
ウクライナに侵攻したロシア軍は激しい抵抗に苦戦を強いられているだけでなく、背後からもロシア国内の反戦グループの鉄道に対する妨害に悩まされることになった。
10月24日ロシアのベルゴロド地方の知事は、ベラルーシ国境から約15キロ離れたロシアのノボジブコボ村付近で鉄道線路が爆破されたと発表した。

この線路はロシアとベラルーシ南部を結ぶ幹線で、これより先に両国が合意した合同部隊の編成に影響を及ぼすことにもなった。
まもなくロシアの反戦グループ「Stop The Wagons(STW)ー貨車を止めろ)が犯行声明をおこなった。この組織の実体は不明だが、英国防省のツイッター「諜報最新情報」によると、STWが鉄道施設への妨害工作を発表したのは今年6月以来六回目で、その他にもロシアやベラルーシの鉄道に対する妨害が増えているという。
鉄道輸送に頼るロシア軍
ロシア軍はウクライナでの作戦で兵器や物資の輸送は基本的に鉄道に頼っているが、その線路網は3万3000キロに及び、主に孤立した地方を通っているので安全を確保するのは極めて困難だと英国防省のツイッターは指摘している。
ロシア当局はSTWの活動を厳しく監視、取り締まっているようだが、ネット上には今もそのホームページ(https://ostanovi-vagony.com)が存在した。

当然のことながらロシア語で、線路の枕木が切れているデザインのロゴと共に「この戦争は止めてみせる」というスローガンがある。
次に「レジスタンスに参加しよう! 戦争をやめろ!」と呼びかけ、その方法を説明する。
「装備、燃料、弾薬の最も安い輸送方法は鉄道だ。鉄道の運行を止めるか、可能な限り遅くすると戦闘行為を無意味にできる」
これに続いて鉄道を妨害する方法について具体的に説明があるが、ここではあえて省略する。
鉄道妨害で双方の命を救え
「鉄道を妨害することで、前線の両側で命を救うことになるのだ!」
STWのホームページはこう宣言し、攻撃目標にすべき地点を地図入りで示し最後に「この戦争は止めてみせる」というスローガンを再度掲げている。
このグループがどれほどの規模に組織されているのかは分からないが。少数の一般市民のグループでもロシア軍の作戦に大きな影響を与えることができるわけで、ロシア軍にとって無視できない脅威になってきているようだ。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】