アフガニスタンに残る日本人などの退避を支援するため派遣された自衛隊の輸送機が、現地カブールに入った。今後、カブールから隣国パキスタンのイスラマバードへと現地に残る日本人や日本大使館などで働く現地スタッフの輸送を本格化させる。

FNNはこれに先立つ2021年8月25日、アフガニスタンを掌握した武装勢力タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官にインタビューを依頼。報道官は多忙を理由に音声のみで応じた。ムジャヒド報道官は、カブール陥落後これまで二度の会見で融和的な姿勢をアピールしてきたが、現地ではデモ隊やメディア関係者が殺害されるなど実態との乖離も指摘されている。

以下に、パシュトー語によるインタビューの全文を掲載する。

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日本人・アフガン人の退避は望んでいない

タリバン ムジャヒド報道官:
まず、我々は、日本人のアフガニスタンからの退避を望んでいない。同時に、アフガニスタン人の誰一人、ここから退避することも望んでいない。アフガニスタンが彼らの国なのだから、そこにいるのが一番良いはずだ。私は、日本人がアフガニスタンに留まることを望んでいる。そして、アフガニスタン人も国外に出さないでほしい。アフガニスタンにとって、アフガニスタン人の国外への流出はよくないことだ。安全は保障されているから、国内に留まるべき。

8月31日までの退避期限は、例えば、戦争の為に来たアメリカの軍に対するものであり、一般の人に対するものではない。この期間は、アメリカが言ったものだ。彼らにとっては問題とはならないだろう。
(駐在外国人の中には)様々な企業で人道的な支援をしている人もいる。このような人たちにはアフガニスタンから退避して欲しくはない。彼らには、アフガニスタンに留まってほしい。我々は彼らの安全は保障する。アフガニスタンにいる日本人を我々は必要としており、退避して欲しくない。大使館は再開されるべきであり、国際機関も同様に再開されるべきだ。彼らに退避期限はない。

自衛隊は退去してほしい

この(退避)期間はあくまでも軍に対するものだ。アメリカを含む全ての軍関係者が留まることは、アフガニスタンにとって何の利益にもならない。民間の海外の方が留まることに関しては何ら問題ない。
日本人には、協力してほしい。我々と日本とは長い間、良い関係がある。外交的にも非常に良い関係がある。だから、我々は日本人を保護する。彼らには、何ら問題は起こらないだろう。しかし、もし日本の自衛隊がアフガニスタンにいるのなら、退去してほしい。アフガニスタンは独立した国家であり、そうした軍の駐留は好ましくない。

外交官や企業に勤める日本人には、心配せずアフガニスタンにいてほしい。日本人には、継続的な協力と支援を期待する。我々は、友好的であり続け、良い外交関係でいたい。これからもそのような良好な関係であるべきだ。そして、信頼関係と協力が欠かせないだろう。

【執筆:FNNバンコク支局長 百武弘一朗】

百武弘一朗
百武弘一朗

FNN プロデュース部 1986年11月生まれ。國學院大學久我山高校、立命館大学卒。社会部(警視庁、司法、宮内庁、麻取部など)、報道番組(ディレクター)、FNNバンコク支局を経て現職。