春の引っ越しシーズンに異変が起きている。例年3月から4月がピークの引っ越しが、ことしは2月に前倒しされているというのだ。
背景には料金の大幅な高騰があり、コストを抑えるため早めの引っ越しを選ぶ人が増えているというのだ。
荷物を減らしてトラックのサイズダウンを図る家族や、値上げを実感する引っ越し業者の声、そして「終わりが見えない」と警鐘を鳴らす専門家まで。
引っ越し業界を襲う深刻な事態を緊急取材した。
■“春の風物詩”が前倒し!? 引っ越しの繁忙期が2月にはじまる
大学入学や会社の転勤…人生の節目に必要なのが「引っ越し」。
3月から4月にかけてピークを迎える、まさに“春の風物詩”です。しかし、引っ越しをめぐって今、ある異変が。
何が起きているのか、調査するため取材班が向かったのは、大阪府や兵庫県の引っ越しを手がける会社「ブレックス」。
見せてくれたのは、直近の予約状況だ。
ブレックス 福田英樹さん:車と人を手配した画面なんですけど、2月21日はどうかというと…いま既にこの状態。これからさらに受注が入ってくるので、前年よりは増えているという状況。
まだ空きはあるものの、2月にも関わらず予約が相次いでいるというのだ。
一体なぜ、引っ越しの繁忙期が2月から始まっているのか。
そのワケを知るため、取材班は引っ越し真っ最中の家族のもとを訪ねた。

■引っ越し料金の高騰 3月は通常の3倍…物価高の影響でさらに1.5倍
大阪府箕面市に住む山川さん家族。築6年のきれいな一軒家で暮らしている。引っ越し準備を手伝う12歳と10歳、2人の息子。
長男の中学校進学を機に、箕面市から隣の池田市へ引っ越すことになった。
当初は3月を予定していた山川さん家族。しかし、あえて2月上旬を選んだという。一体なぜなのだろうか。
山川さん:3月だと引っ越し業者がつかまらなかったり、費用面も高くなると聞いていたので、前倒しにしました。
引っ越しを前倒ししたワケ…それは「引っ越し料金の高騰」だった。
新生活が始まる直前の3月の料金は、年間を通して最も高く、通常の3倍ほど。さらに、ここ5年でおよそ1.5倍にも跳ね上がっている。
料金を少しでも抑えようと、早めの2月に引っ越す家族が相次いでいるのだ。

■低料金化に工夫「セルフ引っ越し」 課題よりも「安く済む方が魅力的」
山川さん家族は、他にも“ある方法”によって低料金化を実現。それは「セルフ引っ越し」だ。
(Q.荷物はこれだけ?)
山川さん:そうです。事前に運び終えている。トラックが小さくなると、安くなると聞いたので、事前にできることは自分たちでやろうと。
1月から5回にわたって、先に新居へ荷物を運び入れ、引っ越し当日に使用するトラックをひと回り小さくし、費用を3割以上も抑えたということだ。
一方で、こんな課題も…。
(Q.まだ3学期が終わっていないが?)
山川さん:3学期中は私が車で送迎を。片道30分かけて子供2人を送り迎えします。
それでも「引っ越しが安く済む方が魅力的だ」という。
(Q.新居はどうですか?)
山川さん:何回も来て自分たちで引っ越しをやっていたので、ワクワク感とかはない。
およそ3時間半かけて、引っ越しは無事に終了。気になるのがその料金だが…。
(Q.最終的にいくらだったのか)
山川さん:7万円ほどでした。
時期を前倒ししたり自分たちで荷物を運んだりしたことで、本来の料金よりおよそ4分の1も安くすることができたということだ。

■段ボール、養生テープ、軽油、人件費…料金高騰のワケ
利用者に大きな影響を与える料金の高騰。背景には一体、何があるのだろうか。
ブレックス 美旛誠仁さん:以前よりも『だいぶ高いね』と(客に)言われる時があります。物価高騰で養生テープや段ボールが高くなり、特に軽油がどんどん上がって、以前に比べて高くしないといけない。(アルバイトなど)人件費が高くなってしまっていて…。
そのため、利用客へ積極的に前倒しの引っ越しなどを提案するということだ。
ブレックス 美旛誠仁さん:ピークの前倒しは結構あります。実感できますね。だいぶ増えたなと。まだ繁忙期にもなっていないのに、繁忙期がもう1カ月増えたみたい。

■料金の高騰は「今後も続く」と専門家
物流業界に詳しい専門家は、こうした料金の高騰は「今後も続く」と指摘する。
物流業界に詳しい近畿大学 高橋愛典教授:ピークに引っ越しをする限り(料金高騰は)ずっと続く。“終わりが見えない”というのが正直なところです。転勤自体を減らしていくとか、社会そのものが少しずつ変化させていく必要というのを考えざるを得ない。

■トランクルームを使った“引っ越しテクニック”
料金は高騰するも、どうしても避けることができない引っ越し。そんな中、今、“あるサービス”が注目を集めている。
記者リポート:新大阪駅近くのトランクルームに来ています。扉を開けますと中は3.3畳ほどの部屋となっていて、家具や家電の一時保管場所として利用できます。
全国の都市部を中心に70店舗以上のトランクルームを展開する「キュラーズ」。
ここで使える“引っ越しのテクニック”とは?
繁忙期の高額な引っ越しを避けたい人は、ここに荷物を一時保管。料金が落ち着いたころに改めて新居に荷物を運び入れるというものだ。
ピークを避ける後ろ倒し需要を追い風に、こうした利用が人気を博しているという。
キュラーズ 池田大和さん:ここ数年、引っ越し時の費用高騰を受けて、一時的に荷物の避難場所のような形でトランクルームを使う人が増えている傾向。大阪エリアの2月は、前年比20%以上、問い合わせがある。
トランクルームの市場は拡大を続けていて、来年には1000億円を超えると見込まれている。
終わりが見えない引っ越し料金の高騰。しばらくは対策が必要となりそうだ。
(関西テレビ「newsランナー」2026年2月2日放送)

