生活に身近な商品をターゲットにSNSで被害が広がり続けている偽広告問題。

「イット!」の取材に新たな被害を訴えたのは、広島県に住む横川さんです。

被害に遭った横川マリリンさん:
スルスル料理しやすくて、そういうフライパンが欲しいなと常々思っていたところにちょうど理想とする動画が流れてきたので。

SNSに表示されたのはフライパンの広告動画。

その中の「こちらは南部鉄器の職人が作った無塗装の純鉄ノンスティックフライパンです」といううたい文句に、横川さんは強くひかれたといいます。

被害に遭った横川マリリンさん:
なにより「南部鉄器」というブランドにひかれてしまったので、ちょっと冷静じゃなかったかもしれない。

広告動画には、岩手県の伝統工芸品である「南部鉄器」と画面に大きく書かれていました。

動画では様々な料理が焦げ付くことなく調理され、「人間国宝の弟子が監修」「100年使える」などと、高品質なフライパンであることが強調されていました。

被害に遭った横川マリリンさん:
すごいスルンスルン焦げ付かずに調理している動画だったから…。

さらに広告では、南部鉄器の魅力の1つ「表面から溶け出した鉄分」が補給できることも「調理中に自然に放出される鉄イオンが毎日の推奨鉄分摂取量ほうれん草三株分を満たし、貧血予防に役立ちます」とアピール。

被害に遭った横川マリリンさん:
鉄分もとれるしということで、普通のフライパンよりは高いけど、一生使えるならいいかなと思って買いました。

ところが、これは偽広告だったのです。
地元・岩手県の組合は、「南部鉄器ではない」ときっぱり否定しました。

水沢鋳物工業協同組合・戸田努事務局長:
もちろん偽物です。(広告の商品は)南部鉄器じゃないですよね。動画のようなツルツルしてるフライパンはあまりない。そもそも手打ち鍛造製法と書いてあるが、南部鉄器は砂で固めた「鋳型」に溶けた鉄を流し込んで作る鋳造。

砂で固めた鋳型に、溶かした鉄を流し込んで作る南部鉄器。
完成品にも砂の質感が残り、表面がザラザラとしていることが特徴です。

しかし偽広告では、加熱した鉄を職人がガンガンたたいて製造するなど、南部鉄器とは作り方に明らかな違いが。

さらに、フライパンの表面もツルツルです。

そもそも「南部鉄器」を名乗れるのは、組合に加盟している企業が製造した商品だけです。

水沢鋳物工業協同組合・戸田努事務局長:
偽物を南部鉄器と名乗り販売していることに関しては憤りを感じている。

南部鉄器ブランドにひかれ購入した横川さん。
届いた商品を受け取った瞬間、だまされたことに気付いたといいます。

被害に遭った横川マリリンさん:
受け取ったときに、あまりの軽さに「ああやってしまった」と。

岩手県産のはずのフライパンに付属していたのは、中国語の説明書でした。

被害に遭った横川マリリンさん:
もちろん南部鉄器じゃないし、鉄製でもなく怪しいので、なんか毒が出てきたら怖いので1回も使えない物が来てしまった。

組合に加盟している企業には、「偽広告を見て購入してしまった」との問い合わせが多く寄せられていて、組合ではホームページに注意喚起を掲載しています。

そして、この偽広告を巡っては新たな事実も発覚。

このフライパンの偽広告は、2025年7月に「イット!」が報じたものとそっくりなんです。

この時は横浜市にある老舗メーカー製を名乗っていましたが、「イット!」の放送後、製造元だけを南部鉄器に変え販売を続けた可能性が。

しかし、「フライパン」が「フライベン」と表記されるなど、日本語がおかしい点はそのまま残り、さらに調理法の紹介が「炒める」「焼く」「煮る」に続き、「爆発」と揚げ物の写真に物騒な文言が添えられているところも変わっていません。

取材班は偽広告の通販ページに記された中国の業者の連絡先に電話をしましたが、中国語で「あなたがかけた番号は存在していません」とのアナウンスが流れました。

そして「(購入した母は)やっぱり南部鉄器は丈夫だってことと、岩手県民なので憧れがあったと。こんな粗悪な物を売りつけてお金もうけするなんて絶対に許せない」と、被害を訴える声は南部鉄器の地元・岩手県からも届いていました。

高い機能性とデザイン性から、今や海外でも人気の高い南部鉄器を狙った偽広告。

南部鉄器の組合ではもし間違って購入しても使用しないでほしいと訴えています。

水沢鋳物工業協同組合・戸田努事務局長:
偽物のフライパンはどのような物質の成分の製品かわからないので、可能な限り使用は控えていただければと思う。