真冬の戦いとなった衆院選。各陣営が特に力を入れているのがSNSでの発信だ。1分ほどのショート動画はよく流れてきて、見入ってしまうこともある。ネットであふれる情報とどう向き合えばいいのか、取材した。

SNSでの選挙情報、若者を中心に拡散

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「ニュース番組の切り抜きの討論とか結構流れてくる」

「街頭演説するために除雪している動画を見た」

街頭インタビューでは、多くの市民がSNSで選挙関連の投稿を目にしていると回答した。政党の紹介や、投票によって誰が当選するのかといった基本情報から、討論会の切り抜き映像まで、様々な選挙関連コンテンツがSNS上で拡散されている。

今や選挙活動で当たり前となったSNSによる発信。富山1区に出馬した4人も力を入れている。

各候補者、独自の戦略でSNS活用

自民党の中田候補は1分ほどのショート動画を毎日投稿。対談形式のライブ配信も行い、政策や人柄を発信している。

中道改革連合の山候補が投稿しているのは、自身をイメージしたキャラクターが登場する「マンガ」。新党を解説する3コママンガの閲覧数は275万回を超えた。

共産党の青山候補は演説スケジュールの告知や、党首の訴えなどを共有。

参政党の斉藤候補は、1日1回以上、街頭演説などのショート動画を投稿し、政策の浸透を図っている。

SNSが選挙結果を左右する時代に

こうしたSNSでの発信について、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は、「2024年は兵庫県知事選、東京都知事選など、さまざまな選挙でネット上で話題となった候補が躍進。2025年の参院選でも大きな影響力を持ち、話題となった政党が躍進した」と述べ、約2年前から選挙の結果に影響するようになったと分析する。

深刻化する「デマ情報」の問題

その一方で、全国的に問題となっているのが「デマ情報」だ。山口准教授は今回の選挙についても、「例えば政党のロゴを改変したようなものとか、"ある政治家が日本を追放される"というような、非常にセンセーショナルなフェイク情報が飛び交っていると感じる」と警鐘を鳴らす。

特に注目すべきは、前回の参院選との大きな違いとして、生成AIの技術が急速に進歩していることだ。「今のところディープフェイクAIが作ったニセ動画などの偽画像が大きな問題になっているのは確認していない」としながらも、「既に生成AIの技術が非常に進歩している。ニセ動画やニセ画像をAIを使って作ることは誰にでもできて、それをSNSに投稿するのも非常に簡単」と懸念を示している。

市民も情報の真偽に不安

街の人々からも情報の真偽に対する不安の声が聞かれた。

「たまに何が本当かわからない時があって、どうしたらいいのかと思う」

「公式(アカウント)じゃないところは信じないかも」

「自分の見たい情報しか入ってこないので、それだけを鵜呑みにするとダメかなと思ってみている」

こうした声に対し、山口准教授は偽情報を見抜くことの難しさを指摘する。

フェイク情報、見抜けるのはわずか14.5%

「私の研究では、フェイク情報を見聞きした人の中で、その情報が誤っていると適切に判断できている人がたったの14.5%しかいませんでした。51.5%、半分以上の人が信じていて正しいと思っていて、残りの34%が判断留保、わからないという回答だったんですね」

特に注目すべきは、この判断力に年齢による差がほとんど見られないという点だ。「しかもこれが年齢によってほとんど違いがないこともわかっています。老若男女全ての人に関わってくるのがこのフェイク問題」と述べている。

専門家が提案する対策

山口准教授は、フェイク情報に対する対策として、「謙虚な気持ちで情報空間に接し、常に『自分も騙されるかもしれない』という心持ちでいる。画像や映像を見るときにもぜひやってほしい」とアドバイスする。

さらに「ネットでは分かりやすくセンセーショナルな内容は拡散するけれど、地味な政策の論議は拡がらないことも注意しておくべき」と付け加えた。

SNSは候補者や政党の主張に触れるツールとして便利である反面、常に注意しながら情報を見極める必要がある。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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