主に海外の旅行客が放置していくスーツケース。
その問題に、新しい発想で取り組むホテルに注目しました。
東京・水道橋にある「庭のホテル 東京」。
館内には都心と思えないほど、緑や水の音に包まれた穏やかな時間が流れています。
「庭のホテル 東京」がいま力を入れているのが屋上菜園。
地上約53メートルの屋上では、春の収穫に向けてホテルのスタッフがハーブの苗を植えていました。
その手元をよく見ると、植物の根元にあるのはスーツケース。
宿泊客が放置したものを植物を育てるプランターとして再利用しています。
総支配人の海老沼悟さんによると、中庭に積もった落ち葉を腐葉土作りに活用したことが、取り組みの出発点だったといいます。
総支配人・海老沼悟さん:
環境に配慮した取り組みを続けていく中で、プラスチックのプランターを使うことは違うのはないかと。捨てられているスーツケースを見つけて、これをプランターに変えて栽培してみようと。
放置されるスーツケースはひと月に3~4個ほど。
一定期間、保管された後に処分されますが多くの費用がかかります。
再利用することで、環境にも優しい取り組みになりました。
総支配人・海老沼悟さん:
スーツケースは耐久性・保水性に優れているので、キャスターもついているので、移動する時にとても便利。
作り方はホテルの動画サイトで紹介されています。
まず、内張りをはがして土を入れるスペースを作ります。
水がたまらないよう底に穴を開けるのがポイントで、石と土を入れるとプランターの完成です。
これまでに収穫された野菜や果物は、約30種類。
ホテル直営のレストランで提供されています。
ダイニング 流 料理長・谷順一さん:
みんなが真心こめて作った野菜を料理に使っていきたいと思う。
ホテルではコーヒーの栽培にも挑戦しています。
今後、収穫量が増えれば、東京産コーヒーが誕生するかもしれません。
こうした屋上菜園を支えるもう一つの存在があります。
それはミツバチです。
野菜や果物の受粉を助けるために、都内では珍しい高層ビルでの養蜂に取り組んでいます。
採れたはちみつは、瓶詰めやクラフトビールの製造に活用されています。
総支配人の海老沼さんは「地域の人にもっと広げて、いろんな人と楽しみながらやっていく活動につながればいいなと思う」と期待を寄せます。
放置されたスーツケース問題を、緑を育てる場所として生かす発想は持続可能な新たな循環を生み出しています。