今から30年前の1月17日、皇太子時代の天皇陛下は、ご夫妻で「阪神・淡路大震災」の犠牲者追悼式に出席したほか、復興市場などで被災者たちを労われた。
平成8(1996)年1月27日放送「皇室ご一家」(第857回 皇太子ご夫妻 阪神・淡路大震災追悼式へ ~神戸~)を振り返る。

なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。現在の天皇皇后両陛下を「皇太子ご夫妻」、上皇后さまを「皇后さま」などと記載する。

阪神・淡路大震災犠牲者追悼式典

阪神・淡路大震災から1年が過ぎた1月17日、皇太子ご夫妻は犠牲者追悼式典にご出席のため、兵庫県神戸市をご訪問になりました。

平成8(1996)年1月17日 JR新神戸駅に到着された皇太子ご夫妻
平成8(1996)年1月17日 JR新神戸駅に到着された皇太子ご夫妻
この記事の画像(20枚)

兵庫県公館で行われた兵庫県主催の追悼式典には、皇太子ご夫妻、橋本総理をはじめ14の市や町の遺族代表ら750人が参列しました。

平成8(1996)年1月17日 阪神・淡路大震災犠牲者追悼式
平成8(1996)年1月17日 阪神・淡路大震災犠牲者追悼式

《皇太子さまのおことば》
「本日,阪神・淡路大震災一周年を迎えるにあたり、様々な思いを残しながら亡くなられた多くの方々に、謹んで哀悼の意を表します。また、遺族や被災者の皆さんには、計り知れない深い悲しみの一年を送られたこととお察しし、心からお見舞いを申し上げます」
「今後、人々の協力の中で生まれたこの新しい力が、より強く育ちながら、遺族や被災者の皆さんの復興へのたくましい歩みと一体となって、この被災の地に真の安らぎのある生活を一日も早く築き上げられますよう願ってやみません。ここに今なお苦難を負っている遺族や被災者の皆さん、一人一人の上に思いを寄せると共に改めて御霊のご冥福をお祈りし、私の追悼の言葉といたします」

おことばを述べられる皇太子さま
おことばを述べられる皇太子さま

続いて遺族を代表して、神戸市の庄隆宏さんと西宮市の吉田紀美子さんが追悼の言葉を述べました。

遺族代表・吉田紀美子さん
遺族代表・吉田紀美子さん

《遺族代表・吉田紀美子さん》
「被災者一人一人の努力と多くの関係者のご尽力で、当初考えられていた以上のスピードで、街は復旧しております。私たち遺族も、もう過去を振り返ってばかりはいられません。悲しい記憶は消えることはありませんが、それを生きるエネルギーに変えなければいけないと思います。今年は明るいニュースがこの兵庫県から発信できるよう、亡くなられた皆さま、どうぞ街の復興する姿を見守っていてください」

 
 

最後に、出席者が献花して犠牲者のめい福を祈るとともに、復興を誓い合いました。この日は、県内の各被災地でも追悼式が行われ、献花をする人々の列が続きました。

阪神・淡路大震災総合フォーラムへ

追悼式に続いて皇太子ご夫妻は、市内のホテルで行われた「大震災総合フォーラム」にご出席になりました。

大震災総合フォーラムに出席されたご夫妻
大震災総合フォーラムに出席されたご夫妻

このフォーラムは、大震災での体験をもとに多角的に検討し、防災対策の在り方や都市づくりなどを国の内外に提案していこうというもので、ご夫妻は状況報告などを熱心にお聴きになっていました。

復興げんき村「パラール」

この後、兵庫県内でも被害が大きかった長田区に去年の秋に出来た、共同仮設店舗・復興げんき村「パラール」(編集部注:1999年11月営業終了)をお訪ねになりました。

共同仮設店舗・復興げんき村「パラール」
共同仮設店舗・復興げんき村「パラール」

ここには長田区の各地区から集まった100店舗が営業しており、1月の利用者は6000人を超えるそうです。

 
 

今回で3度目となった皇太子ご夫妻の被災地ご訪問。お二人は「大変だったでしょう」「ご苦労されましたね」などと労いの言葉をかけていらっしゃいました。

商店街の人々と交流される皇太子ご夫妻
商店街の人々と交流される皇太子ご夫妻

兵庫県ご訪問を通して、ご夫妻は、大震災で亡くなった人たちのめい福を改めて祈られると共に、「今後の復興の歩みが力強く進められることにより、被災地の全ての方々に平穏な生活がもたされ、前途に希望が見いだせる日が、1日も早く訪れることを切に願っております」と述べられました。

「絲竹会演奏会」と「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式

去年は、大変お忙しい日々を過ごされた皇太子ご夫妻ですが、12月の中旬には、皇后さまとご一緒に、皇居内の桃華楽堂で行われた絲竹会(しちくかい)の第438回定期演奏会にお出かけになりました。

演奏会を鑑賞される皇后さまと皇太子ご夫妻、清子さま、秋篠宮妃紀子さま(平成7(1995)年12月)
演奏会を鑑賞される皇后さまと皇太子ご夫妻、清子さま、秋篠宮妃紀子さま(平成7(1995)年12月)

絲竹会は、明治天皇の雅楽保存のお考えの下に、その伝統の保存と研究の為、明治22年に華族有志によって創設されました。

絲竹会の第438回定期演奏会
絲竹会の第438回定期演奏会

また、ご夫妻は、去年の秋、東京・港区のホテルで行われた第22回「日本賞」教育番組国際コンクールの授賞式にご出席になりました。

第22回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式(平成7(1995)年11月)
第22回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式(平成7(1995)年11月)

このコンクールは、世界各国の教育番組の向上と発展を願って1965年に創設されたものです。

 
 

《皇太子さまのおことば》
「21世紀が近づきつつある今日、映像メディアは、教育の分野において有効な手段であり、科学技術の高度化に伴い、今後ますます発展していくことが期待されています。私自身、幼いころから数々の教育番組に親しんできましたが、優れた番組に出会うことは、子どもの心を豊かにはぐくむことになると思います。また、近年、教育放送が子どもだけでなく、生涯を通じて学んでいこうとする人々に対しても、領域を広げつつあることも喜ばしいことであります。世界の教育番組の向上に資するこのコンクールを長年にわたって支えてこられた関係者の努力を、深く多といたします。それとともに、この機会に、参加された皆さんが、それぞれの経験と成果の交流を図り、相互理解を一層深められることを願っております」

 
 

今回は、フランスから出品された成人教育番組「もうひとつの学校」が、グランプリ「日本賞」に輝きました。

受賞者を拍手で称えられたご夫妻
受賞者を拍手で称えられたご夫妻

様々な機会を通し、多くの人々と触れ合いをもたれる皇太子ご夫妻です。
(「皇室ご一家」第857回 平成8年1月27日放送)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(20枚)