楽しみながら身につける箸の持ち方


毎日の食事に欠かせない箸。その正しい持ち方は子どもたちにとって大切なスキルだが、習得は簡単ではない。富山市のなでしこ保育園では、子どもたちが楽しみながら正しい箸の持ち方を身につける独自の取り組みを実施している。
集団生活が上達のチャンスに

給食の時間、園児たちは一生懸命箸を動かしている。なでしこ保育園の栄養士・中鍛冶華子さんは「保育園の集団生活こそ上達のチャンス」と話す。

友達と一緒に食事をする環境は、競争心や教え合い、支え合いの気持ちを自然と育むという。「上手に持てたらどんな気持ち?」との問いかけに、園児は「嬉しい気持ち」と答えた。
箸使いが育む「食べる力」
箸が上手に使えるようになると、さまざまな相乗効果が期待できる。中鍛冶さんは次のように説明する。

「手先の器用さだったり、つかめたり持てたりというところでの『できる自信』にもつながります。また、上手につかめることで、口に運ぶ一連の動作がスムーズになり、食事中のストレスも少なくなります。掴んで食べるという動作をうまくできることで、食べる力も自然とついてくるのです」
紙芝居で学ぶ正しい箸の持ち方3つのポイント


保育園では箸への関心を高めるため、栄養士が手作りの紙芝居を製作。物語は「箸をうまく使えないたろう君がお箸の妖精に出会い、お箸の名人になる」というストーリーだ。
紙芝居で教える正しい持ち方のポイントは3つ。
ポイント①

親指、人差し指、中指を使って「シャキーン」と鉛筆を持つように1本の箸をもつ。「コツは強く持たず、軽めに持つこと」と中鍛冶さんは教える。
ポイント②

もう1本の箸を親指の付け根に「キュッ」と通し、下にある箸は動かさないようにする。
ポイント③

お箸の先を口のように「モグモグ」させて上の箸だけを動かす。
園では合言葉を交えながらイメージを膨らませ、正しい持ち方を自然と真似できるよう工夫している。
2歳後半から始める箸育

なでしこ保育園では2歳児の後半から箸を取り入れ、年中児、年長児になると多くの子どもが箸を使えるようになる。園児に「一番美味しかったのは?」と尋ねると「うどん」と答え、「誰に教えてもらったの?」との問うと「ママ」と返してくれた。「キュウリをつかむのはどうだった?」という質問には「ちょっと難しかった」と話していた。
できたことを褒める声かけが大切

保育園で大切にしているのは、できたことを褒める声かけだ。中鍛冶さんはこう語る。
「できないことに注目したくなくて、最初からできないことは当たり前だと思っています。その子に合わせて、できたことに注目して、叱るのではなく応援していくような気持ちで声かけをしていきたいと考えています」
この取り組みによって、園児たちの食べ物への関心や食事への集中力、やる気のアップ、好き嫌いの減少など、「食べる力」が育まれている。

箸の持ち方は単なる作法にとどまらず、子どもたちの「食べる力」を育てる大切な学びの時間である。食べることが楽しいと思えるように、周りが競わず、できたことを褒めながらサポートしていくことが大切だ。
(富山テレビ放送)
