福井県の杉本前知事の県職員に対するセクシャルハラスメント問題を巡り、特別調査委員会は7日、調査報告書を公表しました。その中で、通報者を含む女性県職員4人がセクハラ被害にあったと認定。セクハラを裏付ける性的な内容のメッセージは約1000通に上り、体を触る被害3件も発覚しました。
◆業務上の内容から「突如、性的なテキストメッセージ」
県から依頼を受け、外部の弁護士3人でつくる特別調査委員会が全庁職員6000人を対象に調査を実施。その結果、4月に外部窓口に通報した1人を含む少なくとも4人の女性職員が、杉本前知事からセクハラ被害を受けたと認定しました。
杉本氏が女性職員に送っていたセクハラを裏付けるLINEやメールは約1000通に上ります。これは、県の総務部長を務め離任した2007年から知事を辞任するまでの18年間に及びました。
調査委員会の調べでは「被害者4人はいずれも業務上のコミュニケーションを行っていたところ、突如、杉本氏から性的なテキストメッセージを受信した」事が分かっていて、交際や性的関係を求める内容などが深夜や休日、業務時間内など時間を選ばずに送られてきたといいます。
◆執拗に性的関係求める…ストーカー規制法に抵触の可能性も
さらに調査では、杉本氏と会食した際に太ももや尻を触られる3件の被害も発覚しました。
調査委員会は「重大かつ許されない。被害者感情は厳しい」と指摘。
しかし杉本氏は聞き取りに対し、自身が送信したメールがセクハラに当たると認めたものの、体を触ったかについては記憶にないと答えたということです。
特別調査委員は、被害供述は日時や場所などが詳細かつ具体的で信用性が高く、杉本氏の言動がいずれもセクハラに当たることは明らかと断定しました。
報告書では「被害者が厳しく拒絶しても再びメッセージを送ったり、執拗に飲食に誘ったり、暗に性的関係を繰り返し求めたりするものもあり、セクハラにとどまらずストーカー規制法に抵触する違法行為である可能性を否定できない」と言及しています。
◆「謝罪は一切受けない」「絶対許さない」被害者感情
約20年にわたり、なぜ県はこのセクハラ事案を認識できなかったのか。
特別調査委員は「福井県庁という職場には、セクシャルハラスメントの被害を通報しにくい組織風土があるように思われる」と結論付けました。
報告書には、被害者らの「杉本氏からの謝罪は一切受けたくない、示談もしない」「受けた精神的苦痛は一生忘れることはできない。絶対許さない」などの言葉が記されています。
杉本氏は、調査結果について「事実認定と評価を尊重いたします」とし「被害を訴えられた方に深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表しました。
◆「セクハラを超えた犯罪行為に近い」捜査機関の対応は―
県組織のトップによる18年間、約1000通に及ぶ性的なメッセージ、体を触る行為が明らかになり、調査委員会は法に触れる可能性も指摘しています。
多くの事件を扱ってきたフジテレビの平松秀敏解説委員は「報告書の内容はあまりにも衝撃的で、唖然とした」と語り「セクハラを超えた犯罪行為に近い」と明言。LINEの執拗な送信はストーカー規制法、身体的接触は不同意わいせつ罪にあたる可能性があるとみています。
「杉本氏はセクハラ問題で知事を辞めたという話だったが、これはセクハラの域を超えている。知事の立場を悪用した犯罪行為に近い、という印象」と言及。
被害者への身体的接触については「杉本氏は否定しているが、被害者の証言には真実味があり、信用できる。上下関係を悪用しているような点は非常に悪質。示談にも応じないという姿勢なので、不同意わいせつ容疑で立件される可能性は十分ある」とします。
一方で、約1000通にも及ぶLINEやメッセージについて平松解説委員は「ストーカー規制法に抵触するのではないか。好意を持っていたことを本人が認めているし、それを元に何度も何度もメッセージを送っている。これは明らかにストーカー行為に該当する」とみています。
警察や検察による捜査の可能性については「不同意わいせつ罪もストーカー規制法違反も非親告罪で、被害者が告訴しなくても捜査は可能。これだけ注目された案件であり、福井県警は動かざるを得ないのでは」としました。