和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで飼育されていた、ジャイアントパンダ4頭全てが、2025年6月に中国へ返還された。
「パンダの町」としてのアイデンティティを失った白浜町は、今どのような変化を遂げているのか。
返還から約半年、町のいまとこれからを「newsランナー」が総力取材でお伝えする。
■ 突然の別れ…4頭全頭返還の衝撃
2025年4月、良浜、結浜、彩浜、楓浜の4頭の中国返還が決まった。
突然の決定からわずか2か月後、パンダたちは中国へ旅立った。
和歌山県白浜町・大江康弘町長:正直ショックでしたね。『本当か』というのが第一の思いでした。
当時の白浜駅や役場は、パンダの像や看板が並んでいた。

■「ポストパンダ」看板を外した町長の決断
町に変化はあったのだろうか。
改めて、今月に白浜町を訪ねてみると、驚きの変化が。
役場に掲げられていた「パンダのまち白浜」の看板が撤去されていたのだ。
当時は悲しんでいた大江町長の表情には、もはや悲壮感はなかった。
和歌山県白浜町・大江康弘町長:ないよりもあった方がいいと。だけど、仕方ないでしょ。我々レベルの町の町長が「パンダ残してくれ」なんてね、拝んで頼んだってね、そんなもんじゃないんですよ。
「ポストパンダ」と自分もよく言いましたけども、切り替えをこの半年近くの中でずっとやりながらきて、もうすっかり『パンダの幻影』は拭い去った。

■パンダの次は…温泉卵!?
では、白浜町は今後何を打ち出していくのか。
和歌山県白浜町・大江康弘町長:何よりもやっぱり温泉街ですから。原点回帰で温泉を前面に出した街づくりをどうしていくかということを今考えている。
関西屈指の歴史を持つ温泉街としての魅力を前面に押し出す方針だ。
具体的な計画としては、町が所有する源泉を活用した施設のリニューアルが進められており、「今度はそこで温泉卵もやります」と大江町長は語る。
この施設は今年度中の完成を目指している。

■8年間の絆…飼育スタッフが明かす別れの舞台裏
一方で最大の看板を失ったアドベンチャーワールドでは、パンダがいなくなったいまも、ファンとのつながりを大切にする取り組みが続いている。
記者リポート:パンダがいなくなった運動場には、見てください。パンダの帽子をかぶった人の姿があります。
この不思議な光景は、飼育の疑似体験ができるイベントだった。
このイベントを進行するのは、約8年間ジャイアントパンダの飼育スタッフを務めた中谷有伽さん。
そんな中谷さんがパンダ返還の舞台裏を明かした。
中谷有伽さん:皆さんより少し早い段階で、上司から教えていただきまして。「ついにか」というような思い。良浜に関しては、一緒に旅立つことになるとは思ってもなかったので、「あっ」という衝撃もありましたね。

■中国にも同行 心の中で伝えた別れの言葉
飼育スタッフの中でただ1人、パンダに同行して中国に渡った中谷さん。
約5時間のフライトの間、パンダたちと同じ場所で過ごした。
中谷有伽さん:4頭とも本当にすごく落ち着いていまして、どのパンダたちも離陸して少ししてから、お昼寝をしたりとか、すごく落ち着いて過ごしてくれていたのが印象的です。
無事中国の空港に降り立ち、別れの時が訪れた。
中谷有伽さん:着陸してから、検疫官の皆さんが来られるまでに、最後、感謝の気持ちと、あとは「また会いに来るね」と実際言葉にはしておりませんけれども、心の中で、1頭1頭に伝えていった。
中谷さんは、8年間の思いをしっかりと伝えられたと振り返った。

■4頭は中国でも元気!
別れから約半年後、番組の元に届いたのは、中国で暮らすパンダたちの独自映像だ。
先週撮影された映像には、笹を食べながら元気そうに歩き回る姿が映っていた。
中国でも変わらず多くの人に愛され、パンダたちは元気にのびのびと暮らしていた。

■「いのちを見つめ、問い続ける」
パンダがいなくなったアドベンチャーワールドは、原点を見つめ直し、大切にしていこうと「いのちを見つめ、問い続ける。いのちの美しさに気づく場所」というテーマを決めた。
アドベンチャーワールドでは、生まれて約3か月のエンペラーペンギンの赤ちゃんが多くの来園者の注目を集めていた。
パンダがいなくなった白浜町とアドベンチャーワールドは新たなステージで挑戦を続ける。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月25日放送)

