東日本大震災の津波で、甚大な被害を受けた宮城県名取市閖上地区で、地域のつながりを取り戻そうと震災後に設けられた「閖上サロン」が、12月26日、8年間の活動に幕を下ろしました。

午前9時半。毎月、第4金曜日に行ってきた地域の清掃活動から、「閖上サロン」の一日が始まりました。

地域住民
「今までお世話になったもんだから、恩返しのつもりというか、みんなの団地だから」

東日本大震災の津波で、およそ750人が命を落とした閖上地区。まちの風景は一変し、住民同士のつながりは途切れかけていました。

2017年、災害公営住宅の完成とともに誕生したのが、「閖上サロン」でした。

お茶菓子を片手に世間話をしたり、編み物をしたり…。震災前にあった、何気ないひと時を、取り戻してくれた場所でした。

地域住民
「みんなでお話しできる場所かな。みんなでお話できるし、よりどころでもある」

震災の発生から、2026年3月11日で15年。 国からの交付金の打ち切りを理由に、閉所が決まりました。

「きょうはお疲れ様でした、乾杯!お世話様でした!」

最後は、思い出を振り返るランチ会です。

地域住民
「私たちは涙だわな。やっぱり寂しいよ、いまはうんと寂しい」
「どうしようもないものね。宝くじ当たったら、私ここのサロン経営すっから」

発足当初から、サロンの運営にあたってきた職員が伝えたいのは、「感謝」だといいます。

名取市サポートセンターどっと.なとり総括 菊地麻理子さん
「皆さんに『どっと』さん居てくれたからと、言葉をかけていただくと、続けてきて良かったなというのと、逆に私のほうも教えていただいたことがたくさんあるので、ありがとうございますという気持ちですね」

地域住民
「寂しいんだもの…。お世話になりました」

閖上サロンが区切りを迎えても、古里でつながり続けたい…。
感謝と名残惜しさに包まれ、8年間の活動に、幕を下ろしました。

仙台放送
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