「初日の出」の名所で知られる千葉・銚子市にある老舗ホテルが突然休業状態になり、音信不通となっている。ホテルで何が起きているのか、現地を緊急取材した。
11月下旬頃から連絡取れず
“年末年始”の予約は、どうなってしまうのか…。老舗のホテルが、突然、休業状態となり、連絡が取れなくなっている。
問題となっているホテルは、千葉・銚子市の「ホテルニュー大新」だ。
入り口を見ると「本日休館」の張り紙がしてあり、中は電気がついておらず、人けがない。

銚子市観光協会によると、11月下旬頃から、ホテル側と連絡が取れなくなったという。

近所の人は「1カ月ぐらい前に従業員から聞いた。『ここを閉める』ってことを。中国の方に譲ったという話は聞いた」と話す。
公式サイトに休業知らせる情報なし
休業状態となったホテルは連絡がつかないだけでなく、さらなる問題があった。
ホテルの公式サイトには、休業を知らせる情報もなく、24日も宿泊の予約ができる状態となっていた。

ホテルには、200人収容の大ホールや大広間、プールもあり、宿泊料金は1泊8000円前後。5日前からキャンセル料がかかる。
ホテルのある銚子市の犬吠埼は、山頂や離島を除くと、日本で一番早く初日の出を見ることができる“初日の出の名所”だ。

年末年始の利用者も多く、観光協会には11月に入り、予約した客から「連絡が取れない」などとの問い合わせが相次いだという。

銚子市観光協会の担当者:
お客様から10件くらい、旅行会社から2~3件(問い合わせが)来ている。初日の出を見に来るお客さんが多いので、年末年始は多い。お客様に迷惑かかるのが一番困る。
同じ会社経営の別の施設「建物崩れている」
さらに、同じ会社が経営する、近くの別の施設でも異変が起きていた。
取材リポート:
こちらの旅館は外壁が崩れていますね。こちらから見ると、建物自体が崩れています。

初代総理大臣・伊藤博文も宿泊したことがあるとされる、老舗の「大新旅館」も休業状態だった。
屋根の一部が崩れ落ち、荒廃が進んでいて、人の気配はまったくなかった。
「経営者代わって誰もいなくなった」
近くの居酒屋店主は「8月の終わりくらいから誰もいなくなった。4カ月前まではおばちゃんがいたが、中国人か何かに経営者が変わって、それから誰もいなくなっちゃいました」と語った。

取材を進める中で、2024年6月にホテルと旅館の経営者が代わったことも明らかになった。

銚子市観光協会は、ホテル側と連絡が今も取れず、休業の詳しい状況を確認できないとしている。

観光協会の担当者は「本来であれば直接、ホテルからいろいろ意思表示していただけるとありがたいと思っている。知らない人がいるので、知ってほしい」とした。
ホテルや旅館に電話してみると、「相手の通信機器の電源が入っていないか、故障していると思われます」という自動音声が流れた。

休業の経緯について、民間の調査会社「東京商工リサーチ」の調べによると、オーナーが代わりホテルの評判が落ち、利用客が減少。賃金未払いのため、従業員の多くが退職し、電気やガス、水道も全て止まり、11月に入り営業を停止したという。

地元のホテルなどで作る「犬吠埼温泉協議会」は、休業を知らずに銚子を訪れてしまった場合、できる限り受け入れるよう、周辺の宿泊施設に協力を呼びかけている。
(「イット!」 12月24日放送より)
