車椅子専用の振り袖。
人生の節目となる成人式ですが、「選びたい柄がない」「着付けに時間がかかる」といった車椅子の人たちの不安を解消しようと作られました。
宮崎県宮崎市の振り袖専門店では「成人式を諦めないでほしい」と、11月からこの振袖の提供を始めました。
宮崎市霧島にある振り袖専門店。
ここで11月に取り扱いが始まったのが車椅子専用の振り袖です。
(一蔵&オンディーヌ宮崎店 三島大輔さん)
「お客様によってはハンディがある方がいるということも聞いて、そういった方が気軽に日本の伝統文化を楽しめるのはいいことだとと思って取り入れた」
車椅子専用の振袖は、着る人の身体の状況に合わせたオーダーメイドで着付け師がいなくても家庭で簡単に着られるように工夫されています。
(佐々木紅音アナウンサー)
「10分もかからないくらいで全身完成しましたね」
「締め付け間もないですし特別力を入れないといけないこともなかったので、本当に体の負担少なく着ることができると思います」
車椅子専用の振り袖は、華やかさはそのままに身体への負担を最小限に抑えられているのが特徴です。
振り袖を作っているのは、振り袖のレンタルや販売などを行う一蔵です。
開発のきっかけとなったのは、一蔵が主催するきものファッションショーで開発担当者が見た光景でした。
(一蔵振袖商品課 高野亙次長)
「車椅子で来られているお客様もいらっしゃいまして、その光景を見て、私が振袖をメインで担当しているので、車椅子の方でも振袖を着て健常者と同じように成人式に出席してご友人やご家族と楽しんでほしいと思って制作しました」
今年、車椅子専用の振り袖を着てランウェイに登場した車椅子モデルの中村来夢さんと玉置陽葵さんは、お気に入りのものを着られる楽しさを実感していました。
(車椅子モデル 中村来夢さん)
「(車椅子だと)着付けがすごく手間取った印象で、それが小学生のころで、もう着物は着ないなと思っていたんですけど、(車椅子専用振り袖を着て)おしゃれだったり可愛いさを重視して身にまとうものを選びたいなって思うようになって、挑戦の幅が広がりました」
(車椅子モデル 玉置陽葵さん)
「車椅子に座っていると背もたれがあるので、帯が当たってしまって姿勢を保つことが難しかったりするんですけど、帯のとこりおが高めの位置に設定されていたり着心地がいいなと思いました。車椅子でも着られる服ではなく、自分が着たいと思えるものから選べるのは私たち(車椅子ユーザー)にとってすごくうれしい」
車椅子ユーザーにとって希望となっているこの振り袖。
県内でこの振り袖を取り扱っているのが一蔵・オンディーヌ宮崎店。
よしみカメラが運営しています。
仕立ての注文も受け付けていて、約3カ月で世界に一つの振り袖が完成するということです。
(一蔵&オンディーヌ宮崎店 三島大輔さん)
「今まで車椅子だからあきらめていたという方に対しても平等に皆様に記念を残すことを提案できたらと思っている。成人式を諦めないで欲しい」
成人式という人生の節目の一日を楽しめる一歩となりそうです。