今、世界的なブームとなっている「抹茶」です。
急激なブーム到来にうれしい悲鳴が聞かれる一方、困惑の声もあります。
現場を取材しました。
日本でも有数のお茶の産地、福岡県八女市。
このお茶どころでいま、ある事態が起きています。
市内でお茶の生産や販売を行っている店「お茶村」。
連日、大勢の外国人観光客が訪れていますが、彼らが熱い視線を注ぐ先にあったのは「抹茶」です。
◆記者リポート
「あちらの外国人観光客の方は抹茶を手に取って見ています」
店を訪れる外国人が次々に購入していく抹茶。
そもそもなじみはあるのでしょうか?
Q.抹茶は好きですか?
◆香港から
「はい、とても好きです」
Q.八女抹茶は知っていましたか?
◆タイから
「はい。私は毎日抹茶を飲んでいます」
タイから来たというこちらの女性は、抹茶のほか抹茶を使ったお菓子など20点ほどを購入しました。
Q.いくつ抹茶を買った?
◆タイから
「分からないです。たくさん、たくさん、あっちも。どれだけ買ったかわからないわ。とにかくたくさんです」
商品を詰めた大きな箱とともに店を後にしました。
海外でも人気が高まっている日本の抹茶。
抹茶を含む緑茶の輸出額のデータによると、健康志向や日本食への関心の高まりなどを背景に、輸出額はうなぎのぼり。
今年は10月までに すでに過去最高だった去年の約1.5倍に迫る539億円に達しています。
この店では、世界的な需要増で原材料が高騰していることなどから、この夏一部の商品の容量を40グラムから30グラムに減らし、価格を改定しました。
◆お茶村 原希久代さん
「需要の方が大変高いので、どうしても原料が高騰して、致し方なく色んなものを値上げをせざるを得ないという現実がある」
一方、福岡市にある茶道の道具を扱う専門店「佐座園」。
こちらにも多い時で1日に100人ほどの外国人が訪れるといいます。
◆フィリピンから
「抹茶のお店を探してここに来ました。TikTokを見て」
◆タイから
「家で抹茶をたてるために自分用に買いました。抹茶はとても高いです。タイで買おうとすると3倍以上の値段がします」
店では八女や京都の抹茶を扱っていますが、外国人の購入量があまりにも多いことから、今年5月以降は1人1個の個数制限を設けました。
◆外国人観光客
「1人1つだけ?明日戻ってきたらもう1つ買える?」
◆店員
「はい、大丈夫です」
◆佐座園 佐座喜男 社長
「やはり遠くから来られて、お国に持って帰られるということですし、そういった方にご希望に添えないというのは心苦しく思っています」
関係者は世界に抹茶文化が広がることを喜ばしいと感じる一方で、急激なブームに戸惑いを隠し切れません。
◆佐座園 佐座喜男 社長
「この急激なブームというのは、茶の農家さんも茶の問屋さんも私どもも対応しかねるところ。急激なブームというのはいささか困惑している」
店では、茶道関係者が抹茶を入手できない事態を避けるため、早めの注文を呼びかけるなどの対応をとっているということです。