サイバー攻撃によるシステム障害が続いていた通販大手「アスクル」の物流システムが再開しました。
約2カ月に及んだ物流障害。
発端となったのは、10月に発生した身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃です。
その影響により、アスクルの物流システムはストップし、事態は長期化していました。
そして、攻撃から約2カ月がたった17日、停止に追い込まれたシステムを新たに構築し稼働にこぎ着けたのです。
アスクル・吉岡晃社長:
本格的復旧の段階に入ることができました。これからより一度、信頼回復が重要だと認識しております。
今回システムが復旧したのは法人向けの「アスクル」のみ。
個人向けの「ロハコ」の再開時期は2026年1月だということです。
今回のシステム障害により特に大きな影響を受けてきたのが医療業界です。
医療備品の約7割をアスクルに発注していたという都内のクリニックを、18日、取材しました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
コレがなくなったあとの予備がほしかった。やっときのう買えたんですよ。
残り少なくなっていた皮膚の縫合に使う器具をようやく注文することができたといいます。
一方で、長引いたシステム障害による影響は思わぬ形で残されていました。
それは、システム停止以降やむを得ず別のサイトから購入した影響によるものです。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
大量購入しないと買えないもの、送料が高いものがありましたので、レントゲン・マンモグラフィーの部屋なんですが、段ボールだらけになっています。
車椅子が通れるよう最低限のスペースは確保。
しかし、本来患者が着替える場所や病室の通路にも大量購入による段ボールが積まれていました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
スペースがどんどん占拠されているのは、ちょっと不安・負担になっていたので、今後に期待が持てるという意味では明るい気持ちになります。
安堵の声は別の現場でも聞かれました。
アルコール消毒に使う綿やペーパータオルなど、アスクルで購入していたという訪問看護会社です。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之代表:
発注できるという安心感にもなるから良かったと思います。
システム停止以降、近くのドラッグストアでそろえていましたが、費用は以前の3倍近くにアップしたといいます。
今回のシステム再開は大きな一歩と言えますが、まだ届くまでに最大7日かかる商品も。
会社側はスピード配達の回復に期待を寄せています。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之代表:
酒精綿は感染症予防の1つ。欠品させるわけにはいかない。欲を言えばアスクル“明日来る”に戻っていただきたいのが正直な気持ち。