お正月に欠かせない「もち」の価格が高騰しています。
今年ならでは、ともいえるその理由を取材しました。
「博多の台所」と言われる福岡市中央区の柳橋連合市場の午前7時。
早朝からあわただしく開店準備を進めている老舗和菓子店「蛸松月」です。
作っているのは、毎朝つきたてを提供する看板商品の「杵つき餅」。
お正月用としても人気です。
これから迎える年末の繁忙期には、1日に2万個もの餅が作られます。
店で使っているのは、佐賀県産のもち米「ひよくもち」。
この年末も例年と同じ量のもちを作る予定ですが、今年はもち米の価格が大幅に高くなっているといいます。
◆蛸松月 松尾健一郎さん
「今年度の新米を使っているが、昨年のもち米の仕入れ価格から約2倍になっている。2~3割上がったことはあるが、ここまでの上がり方は初めて」
もちを長年扱う店の人も、経験がないというほどの値上がり。
その背景にあるのは、私たちが普段食べているうるち米の値上がりです。
去年のコメ不足をうけ、もち米を作っていた生産者がうるち米をつくるようになり、農林水産省によると今年のもち米の検査数量は、去年と比べて1割減少しています。
この店では年末ともなると1日に900キロものもち米を使用しますが、原料の大幅な値上がりで利益が出なくなってしまうことなどから、やむを得ず12月から値上げに踏み切りました。
◆蛸松月 松尾健一郎さん
「約4割ぐらいは上がる。もちは100%材料がもち米だけなので、直結するので致し方ないかな。大幅な値上げなので、販売するにあたって心苦しい思いはある」
店では値上げに伴い、去年20個1800円で販売していたもちを、手に取りやすい15個2000円にして販売する予定です。
◆蛸松月 松尾健一郎さん
「正月は家族そろっておいしいお雑煮とあん餅と食べてもらって、良い年になるようにという思いで、心を込めてもちをつくっている」
大手メーカーでは1年間で3回の値上げも
大手メーカーのもちもかなり値上がりしています。
サトウ食品は「サトウの切り餅400g、8個入り」を3月に558円から617円に値上げしました。
10月にはもう1度値上げして724円に、さらに来年3月にも値上げして843円と、1年間で実に3回も価格が上がることになります。