スキー場でクマに遭遇した男性「ゲレンデ内で見たのは初めてだったんで」
冬眠しているはずのクマにスキー場で遭遇…。
その一部始終が撮影されたのは、12月7日午前8時、長野・白馬村。
言わずと知れた国内トップクラスのスキーリゾートです。

オープン直後、人がまだ少ない中滑走し始めた男性は予期せぬ事態に遭遇します。

前方に現れたのは黒い物体。それは、まさかの「クマ」。クマは滑走する男性を追いかけてきます。

スキー場でクマに遭遇した男性:
来た!クマ出たっす。ヤバ、追いかけられました。本当不意すぎて…怖いって感じではないんですけど、ビックリかもしれないんですけどクマの方がたぶんビックリしていて。すごい驚いた顔していたので。
その後、クマは林へと戻っていき人的被害はありませんでした。
この状況について、クマの生態に詳しい専門家に話を聞きました。

岩手大学農学部 山内貴義准教授:
今年のクマの異常な行動を見ると、もしかしたら、まだまだ現れる可能性はゼロではないかなとは思いますね。
本来、冬眠するはずのクマがいったいなぜスキー場に現れたのでしょうか?
被害がなかったのは「不幸中の幸い」滑走と同等のスピード
谷原章介キャスター:
これ、たまたまある程度スピードに乗っている時だったから良かったと思いますけど、これから助走をつけようというような段階だったらクマの被害に遭ったかもしれない。転んでしまったらどうしようもできなかったかもしれませんから。

松村未央アナウンサー:
クマの走るスピードは、滑り降りるスピードと同じぐらいだそうですが…?

岩手大学農学部 山内貴義准教授:
(クマは)何もない状態だと40~50km/hぐらい出ると言われています。手足が非常に頑丈で、力強くて、肉球もブツブツがあって滑り止めのような役割をするので、何もない時よりはスピードが落ちると思うんですけど、雪の上でもそれなりのスピードは出ると思います。
基本的にはクマを興奮させない方がいいので、本当だったら立ち止まって距離を取ってもらった方がいいんですけど、今回の場合は脇から出てきていて、男性もかなりスピードに乗っているところだったので、今回は滑りきったという行動で、不幸中の幸いで被害がなかったということだと思います。
スキー場にも出没!クマが冬眠しない理由
松村未央アナウンサー:
なぜクマが冬眠しないのか、山内先生によると「人里のえさに依存しすぎた」ということですが…?

岩手大学農学部 山内貴義准教授:
クマは秋の山のえさ資源が少ないと冬眠が早くなると言われていて、おそらく山のクマはもう冬眠していると思います。ただ人里の物に依存しすぎると冬眠がどんどん遅れると言われていて、出てきた個体は人里のものをずっと食べ続けて冬眠が遅れているということだと思います。
スキー場に出没したクマのほかにも、12月13日には新潟・南魚沼市で子熊が出没。
柿の木に登り実を食べて居座ったことから、麻酔銃による緊急猟銃が行われるという事態も。

山内貴義准教授:
この個体に関してはおそらく親からはぐれてしまって、冬眠もできず、お腹をすかせて柿の実に手を出したということだと思います。
佐々木恭子キャスター:
はぐれてしまった子熊は冬眠を知らないとなると、この先も冬眠しないままという可能性があるということですか?
山内貴義准教授:
その可能性は十分あると思います。このぐらいのサイズだとおそらく今年に生まれたクマなんですけれども、こういったクマは親と一緒に冬眠に入ります。ただ冬眠の入り方もこのクマは分からないので、おそらくずっと徘徊し続けるのかなと思っています。
渡辺正行氏:
冬眠が遅れているというクマですが、いつかは冬眠するんですか?

山内貴義准教授:
します。冬眠はします。基本的にクマは12月に冬眠し始めるんですが、このように出没が続いている個体に関しては、まだ柿の実とかおいしいえさがある状況だと、冬眠がどんどん遅れると思います。
谷原章介キャスター:
「山に帰る」ということが分からないまま、民家や周辺でいきなり冬眠に入る可能性はあるんですか?
山内貴義准教授:
冬眠はずっと寝っぱなしの状態なので、彼らも“安心・安全”なところで冬眠をしたがるので人がいっぱいいる街中での冬眠は考えられないのですが、ただ郊外の農村部などだと人口も少なくなっていますので、空き家とか壊れた納屋などに入り込んでしまう可能性は十分考えられると思います。

今年これだけクマが出没して、里のおいしいものを学習した個体が多くなっていますので、来年の春はかなり警戒した方がいいです。一時的にえさがないと里に安易に降りてくる個体が多くなる可能性は高いと思います。
(「サン!シャイン」12月15日放送より)
