岡本楓賀アナウンサー:
「TSKとJALのコラボ企画です。スタジオにはゆかりのある地域に移住し、魅力発信や地域課題の解決に向け活動するJALふるさとアンバサダーの藤田エミさんです。よろしくお願いします」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「よろしくお願いします」

村上遥アナウンサー:
「今回は松江市で貴重な体験をされたそうですね」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「はい。松江市美保関町で日本酒や味噌、醤油など日本の伝統的な食文化に欠かせないあるものを作る体験をしました」

12月9日午前8時、松江市美保関町、1軒の建物から湯気がたちのぼります。

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「こんにちは」

森脇千保美さん 片寄由美さん:
「こんにちは」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「よろしくお願いします」

森脇千保美さん 片寄由美さん:
「こちらこそよろしくお願いします」

迎えてくれたのは、森脇千保美さんと娘の由美さん。
明治時代からつづく森脇糀店、米や麦から「糀(こうじ)」を作っています。
長年、家族で店を営み、千保美さんは6代目になります。

米から作る米糀は味噌や醤油、日本酒など日本の伝統的な発酵食品を作るのに欠かません。
森脇糀店では米糀のほか、麦糀、さらに自家製の糀を使って味噌も作っています。

森脇千保美さん:
「あんた、冷めた?あ、冷めちょう冷めちょう、こっちはいいわ。」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「お米を冷ますことって大事なんですか?」

森脇千保美さん:
「あんまり冷めすぎると発酵が遅くなるし、熱かったら変になる」

現在は、親戚の森脇真子さんも加わり、3人で週に2日のペースで「糀」を作っています。
糀づくりの工程はいたってシンプル。
早朝、約50キロの米と麦を蒸し上げ、あら熱を取ります。

そこに、京都から取り寄せた糀菌をふりかけてよく揉み、温度や湿度を保った室で寝かせます。
そして、夕方、発酵の様子をみながら再び揉みこみ、2日ほど寝かせると「糀」が出来上がります。

店ごとに性格が異なるというは、まさに生き物。
長年、作業場に居着いた常在菌が糀菌を助け、この店の「糀」を育てます。

森脇千保美さん:
「今は菌を入れたからまんべんなく菌が行き渡るように混ぜてるわけ」

藤田さんも糀づくりを体験しました。
蒸しあげた米は熱くて重く、素手で揉みこむのは簡単ではありません。

森脇千保美さん:
「もうちょっと力入れて」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「結構力いりますね」

森脇糀店の6代目にあたる千保美さん。
生まれた時から「糀」に囲まれ、糀菌とともに育ってきました。

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「糀づくりを続けていらして、大変な事もあったんじゃないですか」

森脇千保美さん:
「去年は大変でした。10月に倒れて、10月と11月は休業してた」

40年ほど前に両親から家業を継ぎ、二人三脚で歩んできた夫の正則さんが2024年、脳梗塞で倒れました。
一命はとりとめたものの後遺症が残り、仕事場に立つことが出来なくなってしまいました。
突然降りかかった出来事に、千保美さんは途方に暮れました。

娘・片寄由美さん:
「跡を継ごうという気持ちはあった、まだ父が元気な時に。それが急にしないといけなくなったというのはあります」

支えになったのは、娘の由美さん。
結婚して家を離れ、松江市内で美容師をしていますが、その合間を縫って店に戻り、糀づくりを手伝っています。

娘・片寄由美さん:
「糀から熱がでるんですけど、その(揉みこむ)加減というか、私には経験が浅いので、これから勉強しないと」

先祖から受け継いだ糀づくりに携わるようになって気付いたことがありました。

娘・片寄由美さん:
「お客様が『ここの糀じゃないと』と言って下さると、なかなかそれを(辞めてしまうのはいけない)と思うようになりました」

これまでの取り引き先に加え、「発酵食品」ブームを受け、需要が高まる「糀」。
由美さんは、地道に受け継いできた食の文化を次の時代にも残したいと考えています。

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「6代つづいていて由美さんが7代目になりますが、これからの目標や展望はございますか?」

娘・片寄由美さん:
「つづけて行きたいとは思いますけど」

森脇千保美さん:
「絶対出来るとは言えないけん、そのつもりで前進だわね」

母のあとを継ぐつもりの由美さんは、今の自宅近くに「室」を移設することも検討しています。
美容師と糀づくり、2つの道を両立させるため、模索が続きます。

森脇千保美さん:
「試練と思っている、主人が病気になって。ずーっと今まで二人三脚でやってきてたんだけど、これも私の人生と受け入れないとね。次に明るい意見もあるし先もちょっと見えたようだから、出来る範囲で頑張ってやろうかなと思っているところ」

娘・片寄由美さん:
「教えてもらわないといけないので、もうちょっと頑張ってもらわないと私一人ではまだできないので…ボケ防止に(笑)」

山陰の港町で日本の伝統食を育んできた「糀」。
親子のバトンが受け継がれようとしています。

村上遥アナウンサー:
「糀づくり、貴重な体験でしたね」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「甘い香りと湯気に包まれながらの作業は特別な時間でした。伝統の食文化を守りたいと、お嬢様が仕事や子育てを両立しながら懸命に取り組んでいらっしゃる姿に胸を打たれました」

岡本楓賀アナウンサー:
「藤田さん、ありがとうございました」

JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「ありがとうございました」

TSKさんいん中央テレビ
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