おこめ券に賛否の声が上がる中、鈴木農水相は12日の会見で、2025年の漢字について「『券』とか期待されているのかなと今思いながら考えているんですけど、『苗』ですかね。お米は苗の状態から育たないと収穫に至らないので。もちろんそれ以上に総理のお名前(高市早苗)もあると思います」と話し、笑いを誘いましたが、おこめ券を巡る動きが激しくなっています。
JA全農は11日、政府が物価高対策として推奨するおこめ券について、2026年1月中旬をめどに、自治体向けの臨時券を発行することを発表。
利益を上乗せしない形で販売し、1枚当たり現在の500円から480円程度にする考えを示しました。
さらに、鈴木農水相は12日、「全米販からも重点支援地方交付金を活用した場合のおこめ券の販売価格について、一律一枚477円にするとの報告をいただいた」と述べました。
JA全農に続き、券を発行する全米販も1枚477円で、おこめ券を販売する方針を明らかにしました。
現在、2つの団体はおこめ券を1枚500円で販売。
しかし、利用できるのは440円分のみで、差額の60円は印刷代などの経費と利益となっています。
こうした中、今回JA全農は480円程度、全米販は477円と利益と経費を抑えて販売する方針です。
おこめ券の配布拒否を表明している大阪・交野市の山本市長は、SNSで「『利益とらない』って、今まで利益を取っていたということじゃないか。まさしく、お米券は利益誘導」と投稿しています。
街の人からは「利益に…。なるほどなるほど。まだおこめ券の魅力が分からないですね」「おかしいと思う。なのでいらないと思う、おこめ券は。もうちょっと違う方向に使ってほしい」「売ってる人も生活かかっているし、仕方ないのかなって感じ」といった声が聞かれ、受け止めはさまざまです。
一方、おこめ券を巡っては、経費の高さなどから配布を見送る自治体が相次いでいます。
東京・中野区は、おこめ券ではなく低所得世帯向けの現金給付を検討。
福岡市はプレミアム商品券の配布を、新潟市は現金3000円の給付を行う方針です。
配布見送りの動きが広がるおこめ券ですが、鈴木農水相は12日の参院予算委で「おこめ券につきましては、お米しか買えないというわけでは決してありませんで、お米やその他利用店が認めた商品、例えば卵や味噌やしょうゆ、なんでも結構。こうした購入に利用可能であることも承知している」と強調し、食料品の高騰対策に適合しているものなら、使用可能との考えを示しました。
また、今国会で補正予算が成立した場合、12月下旬以降に自治体におこめ券が届くよう関係者と調整しているということです。