富山県南砺市の五箇山合掌造り集落が世界遺産に登録されてから9日でちょうど30年を迎えました。
貴重な景観を今後どう継承していくかが課題となっています。
*リポート
「南砺市五箇山の菅沼合掌造り集落です。12月に入り辺りは雪化粧が施されました。豊かな自然に囲まれたこの地域では今なお9棟の合掌造りの家屋が残っています。美しい日本の原風景を感じることができます」
菅沼合掌造り集落。9日も国の内外から多くの観光客が訪れていました。
*観光客(東京都から)
「上から見た景色がとても素敵だった」
*観光客(スペイン出身)
「SNSで見て(来た)。相倉と菅沼はとても美しい」
*観光客(東京都から)
「ほっこりする昔の感じで」
「(合掌造り集落を)守っている方々のご苦労はあるのではないかな。保存してくれているから私たちが見られる、経験できるのはすごく嬉しい」
五箇山の相倉集落と菅沼集落が世界文化遺産に登録されたのは1995年。
合掌造りの家屋を中心とした貴重な農村の景観や受け継がれてきた文化が評価され、岐阜県白川郷とともに登録されました。
菅沼合掌造り集落には、現在5世帯27人が暮らし、すべての世帯が食堂や土産店などの観光業に携わっています。
*越中五箇山菅沼集落保存顕彰会 中島慎一
「こうして30年が経って、年を追うごとに世界遺産の重み、大切さを感じているところ。ずっとこの景色を眺めて住民と触れ合って会話してもらって、少しでも長い間、菅沼に滞在できる観光地であれば良いなと思っている」
相倉合掌造り集落の入り口近くにある展示館、勇助です。
ひと際大きなかやぶき屋根の家の中には、カメラマンでもある店主の池端滋さん83歳が60年以上にわたって集落の四季や人々の生活を収めた写真70点あまりが展示されています。
*勇助 池端滋さん
「窓明かりというのが僕は生活感があっていい。それぞれの家に家庭があってそこに営みがあって歴史がある。その家々の歴史が世界遺産につながっている。それを伝えるのが相倉の仕事だと思っている」
池端さんは集落で最も古い民宿を営んでいましたが、自らの年齢を考え、今年3月に58年続いた民宿の営業に幕を下ろしました。
ただ今後も展示館の営業は続け、観光客や集落に住む子どもたちに地域の歴史や文化を伝えていくつもりです。
*勇助 池端滋さん
「こうして世界遺産として生活文化を伝えていくのはここだけ。先人の文化を尊重しながら、新しい文化をとりいれながら伝えていけたら」
世界遺産の登録から30年。
相倉・菅沼ともに世帯数や人口は大きく減っていて、今後かやぶき屋根に代表される貴重な景観をどう後世に継承していくかが課題となっています。
*越中五箇山菅沼集落保存顕彰会 中島慎一会長
「今は息子夫婦と住んでいるが、次に孫の世代になったらどんな風になっていくか期待もあるし心配な面もある。あと5年10年、私たちの役目。どういう生活環境に改善していくか昔のままが良い訳ではなくて、1つでも新しい形のつなぎ方をしていきたい」