市議会の本会議で、児童・生徒の不登校問題について「親が悪い。学校へ行くのは当たり前」などと発言した富士宮市の須藤秀忠 市長は12月3日、報道陣の取材に対し「私の言い過ぎだった」と自らの非を認めた。
不登校は親が悪い?
富士宮市の須藤秀忠 市長は12月2日、市議会本会議の質問戦の中で児童・生徒の不登校問題について問われた際、「子供が学校に行かないのはなぜかと考えてみると親が悪い。学校が悪いのではない。親が子供のしつけをちゃんとしていないから、学校へ行かなくても良いというのが当たり前みたいになっている。学校へ行くのは当たり前で、学校へ行かなくてはダメということ、良いこと悪いことの区別をつける必要がある」と述べた上で「学校の教育ではなく、家庭での教育が大事だと思っている。学校へ行けないことは悪いことだと教えていかないと。厳しいしつけをすると子供がもっと悪くなると心配するよりも、厳しいしつけの中に愛があって、子供が正しい道に進むことを悟ると私は思う」などと答弁した。
須藤市長はその後、自身の発言について周囲から指摘を受け、「不登校が親だけの責任であると捉えられかねない発言があったので取り消したい」と発言を撤回しているが、質問に立った仲亀恭平 議員は「市長の口からあのような発言が出るとは思っていなかったので驚いた。不登校は親の責任だと強く明言したところが衝撃的だった。自責の念にかられている親もいて、支援しようという教育長の発言もあった中で、市長がそれを否定するような言葉だったので少し残念」と話している。
自らの非を認め「言い過ぎだった」
こうした中、一夜明けた12月3日、須藤市長は報道陣の取材に対し、「過ちては改むるに憚ることなかれという思い。私の言い過ぎだった」と自らの非を認めた。
その上で、発言の真意については「学校だけが悪いのではないということ」と主張している。
不登校の児童・生徒は35万人超
10月29日に文部科学省が公表した児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によれば、不登校の児童・生徒は全国の小学校で13万7704人、中学校で21万6266人と過去最多となっていて、同省が2021年10月に公表した不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書では「最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたきっかけ」(複数回答可)について、嫌がらせやいじめ、教師との関係性、学習面など「学校生活がきっかけ」は小学生が76.9%、中学生が79.4%だった。
須藤市長の発言全文
須藤市長による12月2日の市議会本会議における当該発言は以下の通り。
子供が学校に行かないのはなぜかと考えてみると親が悪い。学校が悪いのではない。
親が子供のしつけをちゃんとしていないから、学校へ行かなくても良いというのが当たり前みたいになっている。学校へ行くのが当たり前で、学校へ行かなくてはダメだよということ。良いこと悪いことの区別をつける必要がある。
子供がいろんな判断をするというのは子供は親の後ろ姿を見て育つと言います。あるいは「三つ子の魂百まで」と言って、小さい時の気持ちはずっと大人になっても大事。とにかく家庭の愛が何よりも大事。そういうことの中で教育が大切。学校の教育ではなくて家庭での教育が大事と思っている。
学校へ行けないことは悪いことだと教えていかないと。こういう逃げ道がある、あそこも救われるよ、いろんな話があるが根本的な基本的なことについてはやっぱり家庭が一番大事。親の後ろ姿を見て子供が育つ。そして、「三つ子の魂百まで」。家庭の愛。しつけ。厳しいしつけをすると子供がもっと悪くなると心配するよりも、厳しいしつけの中に愛があって子供が正しい道に進む、そういうことを悟ると私は思う。
(テレビ静岡)
