政府が物価高対策として配布を後押ししている「おこめ券」をめぐり、配るのか、配らないのか、自治体の対応に温度差が出始めている。
“配布拒否”を繰り返す自治体も…
テレビ熊本・中原理菜アナウンサー:
高森町役場です。午前8時半に開庁したばかりですが、紙のおこめ券を求めて町民が訪れています。

熊本・高森町では、年末年始に町独自のおこめ券を間に合わせようと、1日から配布を開始した。希望する全ての町民に、2026年3月まで毎月1500円分が配布され、国産米に限り5kgごとに1枚利用できるという。

町民:
ありがたいです、本当に。特に年金生活だし、一番必要なのはお米ですよね。
さっそく、おこめ券を使った人は……。
お米券を使った人:
もち米です。もち米高いから、正月のおもち用に使います。

一方、大阪・交野市の山本市長は、おこめ券の“配布拒否”を繰り返している。
山本市長は11月28日、自身の公式Xに「交野市はお米券を配布しません」と投稿。

翌日の11月29日にも、「繰り返しますが、交野市は、市民のためにお米券を配りません」と投稿した。

さらに11月30日には、「鈴木農林水産大臣の露骨なお米券への誘導には屈しません」と投稿し、3度に渡り「配布しない」ことを宣言した。理由として、券を配ることでその分経費が掛かり、物価高騰対策には不適切だとしている。

鈴木農水大臣は2日、“おこめ券反対論”が出ていることについて、「各自治体において、できる限り負担感が少なく、速やかな実施が図られる方法を選択して進めていただくことを期待している」と述べた。
自治体間で“不公平”が生じる可能性
各自治体に委ねられたおこめ券の配布だが、東京23区内でも対応に違いが出ている。

おこめ券について現在“検討中”だというのは渋谷区。渋谷区では、独自のキャッシュレスサービス「ハチペイ」でお米を買うと、最大50%還元されるサービスが1日から開始した。
渋谷区民:
ちょっとでも安くなるのはありがたいですね。子供が5人いるので5kgあっという間で。お米代がね…。

フレスコベンガベンガ渋谷本町店・松本智克店長:
通常の4倍ぐらいお米が売れました。1家族2000円ではなく1人(上限)2000円なので、4人家族だったら8000円使えるということになる。
渋谷区はすでに区独自のサービスを行っているが、政府の説明を聞いた上で、さらにおこめ券を配布するか検討しているという。

その一方で、おこめ券を“配らない”と決めたのは江戸川区。区によると、おこめ券よりも、低所得者や子育て世帯向けの支援を重視していくためだという。
江戸川区民:
(おこめ券)あればうれしい。いろいろあるから不公平とは思わないけど、何か原因があるのかな。
江戸川区民:
統一してもらえるんだったら、統一してもらいたい。
江戸川区民:
江戸川区が配られないのであれば、それ以上のものを期待してしまう。

自治体間で“不公平”が生じる可能性について鈴木大臣は、「そうした声があることも重々承知しております。推奨事業メニューのなかで“市区町村に対応いただきたい必須項目”として位置づけされている。ですので、ご指摘のような不平等感を招かないよう配慮されていると考えている」とコメントしている。
政府は、3日から自治体向けのオンライン説明会を実施する予定にしている。
(「イット!」12月2日放送より)
