26年前に名古屋市西区で起きた主婦殺害事件。容疑者逮捕から1カ月が経ち、被害者の夫が12月1日朝、今の思いを語りました。

■「殺されるほど悪いことをしましたか?」疑問は払拭されず

未解決事件の急転直下の容疑者逮捕から1カ月。高羽悟さん(69)は、容疑者が逮捕された後も欠かすことがなかった日課の見守り活動を、1日朝も続けていました。

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高羽悟さん:
「同じ町内会の子供を大事にしたい。ただでさえ少子化なんだから、周りで見守ってあげないと」

1999年11月、西区稲生町のアパートで妻の奈美子さん(当時32)が首を刃物で複数回刺され、殺害された事件。

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丸26年を迎える直前の10月31日、悟さんの高校の同級生・安福久美子容疑者(69)が逮捕されました。

高羽悟さん(11月1日):
「(逮捕当日は)知人が一緒にお酒を飲んで祝ってくれた。本当にみんなに優しくしてもらって、ありがたいです。自分が泣いている場合じゃないので、しっかりしないと」

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逮捕の一報を受けたあと、連日のマスコミの取材などで「寝る暇もなかった」という悟さん。生活は少しずつ落ち着いてきましたが、「なぜ…」という疑問は払拭されないままです。

高羽悟さん:
「『あなたに何か、奈美子が殺されるほど悪いことをしましたか?』と聞きたいですよね。早く真実を話して、裁判を早く終えて、刑に服してもらいたい、それしかないので」

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そして、亡き妻・奈美子さんへの思いは募るばかりです。

高羽悟さん:
「自分の関係者じゃなかったら、もっと素直に喜べたかなということは常に引きずっています。本当にすっきりしないですよね。奈美子には申し訳ないなという気持ちが、どうしても前に出てしまうので」

■「26年前の精神状態を今からどうやって鑑定するのか」

カメラに向かって穏やかに微笑む女。今から10年ほど前、50代後半のころの安福容疑者です。

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逮捕前、名古屋市港区で暮らしていた安福容疑者を知る人は…。

安福容疑者を知る人:
「穏やかで普通に明るい、自分から積極的に話しかける人だったので。26年間だまされていたのかなという思いもありますし、どうしても未だに信じられないところもあります」

安福容疑者の事件後の姿を写真で確認した悟さん。警察が目撃情報をもとに公開していたポスターに描かれていた、犯行時に手にケガをした容疑者の姿と重なったといいます。

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高羽悟さん:
「幸せそうな感じにしているので、ちょっとむかつきますよね。ただ気になるのは、最初の似顔絵が出た時、逃げているところを目撃されているポーズが全く一緒なので、犯行後にそういう癖がついたのか興味を持つところ」

安福容疑者は「26年間、毎日不安だった」と供述し、逮捕直後は容疑を認めていました。

「学生時代、悟さんに好意を抱いていた」とする一方で、「女性や子育てについての悟さんの考え方が嫌いだった」という趣旨の供述もしていましたが、その後は黙秘の意思を示し、取り調べに応じず。

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面識がなかった奈美子さんを殺害した動機について明確な供述が得られないまま、名古屋地検は刑事責任能力の有無を判断するため、11月14日から鑑定留置を開始しました。

犯行当時の精神状態などを調べていますが、数カ月はかかるとみられています。

高羽悟さん:
「26年前の精神状態を、今からどうやって鑑定するのか。極端な話をすれば、不起訴になる可能性もあるということなんで、それはちょっと…なかなかいたたまれないというか」

■26年も前の精神状態をどうやって鑑定するのか

刑事事件で鑑定をした経験を持つ精神科医に話を聞きました。

小林心療内科・精神分析室の小林芳樹院長:
「1年前でも3年前でも26年前でも、時間をさかのぼって医学的に当時の責任能力を評価することは、理屈の上では可能。本人の供述にどこまで信憑性があるか分かりませんが、それのみならず、事件に関わった可能な限り多くの人の供述や客観的な事実・証拠を、地道に積み重ねていくしかない」

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小林院長によりますと、「26年前の事件であっても、(現在の)容疑者への問診や心理検査・知能検査など一般的な手法は変わらない。ただ、1年前の事件と比べると信憑性は劣る。そこで、事件当時の容疑者や関係者を取り巻く環境についての客観的な情報収集が重要になってくる」ということです。

東海テレビ
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