増加する外国人労働者。その子供たちのための「専用クラス」が静岡県清水町の幼稚園に設置されています。言葉や文化の異なる子供たちとどう向き合うべきか。現場は試行錯誤していました。
静岡県清水町長沢にある町立清水西幼稚園。65人の園児のうち約4割、27人が外国籍です。
清水町ではこの10年で外国籍の人口が500人以上増加。それに伴い外国籍の子供たちも増えているといいます。
清水町こども未来課・担当者:
清水西幼稚園が長沢地区と柿田地区で、そこには自動車関連の工場があり、働いている外国籍の人が多く、外国籍の人が多く住んでいるアパ―トもあり、その影響だと考えている
2025年度清水西幼稚園に入園した外国籍の園児は12人。
他の施設と比べて外国籍の子供たちの受け入れが進んでいたこともあり入園希望者が後を絶ちません。
こうしたなか西幼稚園では2025年4月、外国籍専用のクラスを設置しました。
在籍しているのはフィリピン国籍の3歳と4歳の子どもたち。
町の臨時職員として採用されたアガラノ娃肥さんが通訳を担当しています。
通訳支援員・アガラノ娃肥さん:
母国語や英語など自分が知っている言葉を使いながらなるべく日本語のフォローをするようには意識している。言葉で表現できない子どもたちもいっぱいいる。動作を見ながら何をしたいのか想像するしかない
母国語でさえも言葉にできない子供が多いといいます。
それは両親の仕事が忙しいことなどから家庭内でのコミュニケーションや社会との接点が少ないため。
保護者に聞いてみると。
保護者:
(仕事は)車のタイヤを作っている。2交代で昼勤と夜勤。すごく忙しい
保護者:
(Q.仕事は何を?)夜勤。朝早く帰ると子どもの隣で寝る。私が家に帰ると子どもは隣にいてほしいと思っているから
通訳支援員・アガラノ・娃肥さん:
何を作るの? What are you going to make?
園児:
I want to make a castle “Donguri”
専用クラスでは英語や日本語、時にはフィリピンの公用語であるタガログ語を用いながら自分の言葉で伝えることの大切さを子供たちに教えています。
清水西幼稚園・加藤真美 教諭:
自分たちで服が着れなかったら助けてもらわなければいけない。でもそのときに「うぅあぁ」だったら本当は分かっても「分からない“やって”と言ってごらん」と簡単だけれども言えたほうが豊かになる言葉は、話せるように娃肥先生と考えながらどういう風にアプローチしていくか話しながら子どもたちに下ろしている
課題はほかにも。清水町では少子化や施設の老朽化に伴う幼稚園と保育所の再編で西幼稚園は2028年3月に閉園することが決まっています。
まずはそこまでの2年半この半年で培ったことを生かし子供たちと向き合います。
清水西幼稚園・齊藤泰枝 園長:
母語が曖昧で子どもたちの理解の度合いが難しかったと見えた。積み重ねてきたスキル、外国籍に対して配布する文章や伝える言葉を活かしていけるようになれば
外国人労働者が急増している現代。
その子供たちが日本の社会の中で安心して学び成長できるよう適切な支援が求められています。