大阪・泉佐野市の職員らが『赤ちゃんポスト』や『内密出産』の先進事例を学ぼうと、11月26日27日の日程で、熊本市の慈恵病院と熊本市を視察した。泉佐野市は2026年度に全国で初めて自治体主導で取り組む方針だ。

大阪・泉佐野市の職員ら19人が視察

慈恵病院を訪れたのは、泉佐野市の職員や、連携して取り組む予定の、りんくう総合医療センター産婦人科の医師など19人。

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親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる『こうのとりのゆりかご』の見学では、りんくう総合医療センター関係者が、赤ちゃんの人形の預け入れを体験し、その後の対応などについて慈恵病院から説明を受けた。

そして、蓮田健理事長が匿名性の担保や相談員が女性に寄り添うことの大切さについて、話した上で、法制化されていない日本で民間ではなく、自治体が主導して取り組む場合に考えられる課題について「どんな局面で、誰が責任を取るのか、誰が意思決定するか、私が自分でしている。責任分担をどうするか」と話した。

泉佐野市は2026年度に『赤ちゃんポスト』や『内密出産』の取り組みを始める方針で、今後、市と病院によるワーキンググループを立ち上げる予定という。

「法整備は必要」「突破口へ期待」

泉佐野市こども部の島田純一部長は「熊本市と違うのは、政令市ではないので、泉佐野市で児童相談所は持てない。その措置権がなく、大阪府に頼らないといけない。行政主導では病院にとっても法整備は必要と思う」と話した。

また、りんくう総合医療センターの松岡哲也院長も「法整備を訴えながら、いい形になるように、前例を公的医療機関としてつくるのも我々の役目と感じた」と話し、荻田和秀産婦人科部長も「りんくう総合医療センターはいわゆる未受診妊婦を現状でも受け入れていて、医学的リスク、経済的、社会的リスクを理解するという意味では、それほどハードルは高くない施設と自負している」と話した。

慈恵病院の蓮田健理事長は会見で「泉佐野市とりんくう総合医療センターの皆さんの積極的に取り組もうという姿勢がうれしかった。今後、紆余曲折あるかと思うが、これが大きな突破口となり、国が対応せずとも自治体レベルでの取り組みが広がるのではと期待している」と述べた。

泉佐野市が熊本市の担当課を視察

泉佐野市の一行は、27日に本市役所を訪問。熊本市のこども家庭福祉課や妊娠内密相談センター、児童相談所の職員らと意見交換を行った。

この中で熊本市の慈恵病院が運用する『こうのとりのゆりかご』や『内密出産』を巡る、これまでの病院と市や国との連携の経緯などを共有したという。

泉佐野市こども部の島田純一部長は「妊娠期から出産、子育てと一貫した流れの支援体制も必要だが、きょう熊本市から教育の現場でも性教育や啓発をされていると聞いたのでその辺りは学ばせていただいた」と話す。

泉佐野市は、熊本市での視察を踏まえて、りんくう総合医療センターで『赤ちゃんポスト』や『内密出産』の来年度中の運用開始を目指している。

(テレビ熊本)

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