テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」でお天気コーナーを担当している気象予報士・古山圭子さんが天気の豆知識を解説するコーナー。今回は、「ヒートショックとその予防策」についてお伝えします。

11月26日は「いい風呂の日」 でも冬のお風呂は要注意!

11月26日は「いい(11)ふろ(26)」の語呂合わせで「いい風呂の日」です。これから寒さが本格化する季節、温かいお風呂が恋しくなりますね。

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古山予報士:
児玉さんはお風呂好きですか?

児玉アナ:
はい、私は基本的に、浴槽にお湯をためる派なんですけど…

ここで古山予報士は、「私もお湯は熱めで、カラスの行水タイプなんですけれども、そういった方、この時期から注意が必要なんですよ」と、笑顔の中にも真剣な表情で語りかけました。
実は、寒暖差が大きくなるこの時期、日々の入浴には「ヒートショック」という危険が潜んでいるのです。

11月から急増する入浴中の事故

古山予報士が示したのは、少しドキッとするデータでした。

溺れて亡くなるなどの月別の件数を示したグラフです。注目すべきは、11月から12月にかけて件数が急増している点です。そして、このうちのおよそ8割が、自宅などの浴槽内で起きているというのです。
この背景にあるのが「ヒートショック」です。

「ヒートショック」はなぜ起こる?

ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす健康被害のことです。そのメカニズムは次のようになっています。

1.暖かいリビングから寒い脱衣所へ
まず、暖房の効いた暖かい部屋から、冷えた脱衣所に移動して服を脱ぎます。

2.さらに寒い浴室へ
体が冷気にさらされると、血管は体温を逃さまいとキュッと縮み上がり、血圧が上昇します。

3.熱いお風呂へドボン!
そして、そのまま熱いお湯の入った浴槽に入ると、今度は体が温められて血管が「グワッと広がって」血圧が急降下します。

この血圧の乱高下によって、めまいや失神を起こし、浴槽で溺れてしまう危険があるのです。

これからが特に注意の必要な季節

では、なぜ今、このヒートショックへの注意が呼びかけられているのでしょうか。それは、今後の気温の推移に理由があります。

11月27日から12月上旬にかけての最低気温の予想を見ると、宮崎県内でも最低気温が一桁の日が当たり前となり、特に11月29日(土)には、高千穂など北部山沿いで氷点下の冷え込みも予想されています。さらに、12月に入ると真冬並みの強い寒気が流れ込む可能性も指摘されています。
このように、屋外だけでなく家の中での寒暖差も大きくなるため、ヒートショックのリスクが高まるのです。

今日からできるヒートショック対策

では、どうすればヒートショックを防ぐことができるのでしょうか。対策のポイントは「体が感じる温度差をなるべく小さくすること」です。

・脱衣所や浴室を温めておく
 入浴前に暖房器具などで脱衣所を温めたり、シャワーの蒸気で浴室の温度を上げておきましょう。

・お湯の温度は41度以下に
 熱すぎるお湯は血圧の急降下を招きます。古山さんも「ちょっと熱めに入っているのが多かったので、ちょっとぬるめにしたほうがいいですね」と自戒を込めて話していました。

・食後すぐの入浴は避ける(特に高齢の方)
 食事の直後は消化のために血圧が下がりやすい状態です。少し時間を空けてから入浴するようにしましょう。

本格的な冬の到来を前に、お風呂の入り方を見直す良い機会かもしれません。正しい知識でヒートショックを防ぎ、安全で快適なバスタイムをお過ごしください。

(テレビ宮崎)

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