日本でクマの被害が相次ぐ中、どう被害を抑え、共存していけばいいのか。
その答えの1つがアメリカにありました。
約500頭のクマが生息し、年間400万人以上の人が訪れる「ヨセミテ国立公園」。
ここではクマの行動をGPSで監視し、人間の食べ物を徹底管理するなど、世界でも厳格な対策がとられています。
この対策の背景には、過去への反省があります。
1920年代ごろから、ヨセミテではクマを観光の目玉としてきました。
人間とクマの距離は近く、当たり前のように人が直接クマに餌を与えています。
人間の食べ物の味を覚えてしまったクマは、観光客が残したごみに群がったり、空き瓶を執拗(しつよう)になめる姿も。
簡単に手に入る人間の食べ物に依存してしまったクマ。
その危険性は、エスカレートしていきました。
車に助手席の窓からするっと侵入したクマ。
食べ物が入った容器でしょうか。
口にくわえたまま車から出てきて、外で食べ始めました。
さらに、別の車でも…。
大きな体は助手席からはみ出すほど。
窓から顔を出すと、辺りを警戒していました。
多い年には年間100頭もの殺処分につながったことで、公園は厳格な対策に取り組む方針へとかじを切ります。
公園内には「ベアボックス」と呼ばれる、クマに食料を持ち去られないようにするための保管庫を1000個以上設置。
公園の規則で保管庫の利用が義務付けられ、違反すると最大5000ドル、日本円で約78万円の罰金が科せられるなど厳しいルールが設けられました。
こうした対策の効果もあり、クマの被害はピーク時と比べ、98%も減少したといいます。
過去最悪のクマ被害が拡大する日本。
被害を防ぐためには、食べ物の管理を徹底するなど厳格な対策の必要性も問われそうです。