北海道北部の苫前町で、体長2メートル近い巨大なクマが駆除された。
周辺で出没を繰り返し、重さ300キロの箱わなをひっくり返すなどして姿を消していた個体とみられている。
駆除された巨大グマ
体長1.9メートル、体重380キロの巨大グマ。
箱わなの中で、所狭しと暴れている。
あまりの迫力に、鉄製のわなが壊れてしまわないかと心配になるほどだ。
苫前町小川地区に設置されたわなにかかり、この後駆除された。
駆除にあたった苫前町猟友会の林豊行会長も驚きを隠せない。
「今まで私がわなで捕獲したクマでは最大」(苫前町猟友会 林豊行会長)
11月24日の夜―箱わなにかかる
箱わなにかかったのは11月24日の夜のことだ。
霧が立ち込める中、姿を現した巨大グマ。
わなの中をうかがうような様子で周囲を動き回る。
そして、午後11時ごろ、箱わなの扉が閉まる音があたりに響く。
周辺では巨大グマの出没が相次ぎ、住民を不安に陥れていた。
「大きさから言うと、出没を繰り返していたクマと同じくらいだと思う」(林会長)
仕掛けたわなをあざ笑うかのような行動
11月12日に撮影された映像だ。
今回と同じ場所に設置された箱わな。
重さ300キロで動かないよう固定されていたにもかかわらず、クマがいとも簡単にひっくり返す。
駆除されたのは、このクマと同一の可能性が高いと林さんは言う。
「デントコーンを食べて、ダボダボになったクマかな」(林会長)
これまでにも出没を繰り返し、林さんとの戦いが続いてきた。
「『くだらないわなを仕掛けて捕まえる気でいるな』と言いながら、くるっと回って笑いながら去っていった感じ。この箱わなには大きすぎて入れないのか、ばかばかしくて入らないのか。いずれにしても、あれは無理」(林会長)
人間が仕掛けたわなをあざ笑うかのように、周囲を平気で歩き回る巨大グマ。
あまりの賢さに、捕獲は一筋縄ではいかないと林さんは覚悟していた。
「クマが入っている餌を食べようとして、箱わなの下を掘った。なかなか、やるものですよ」(林会長)
しかし、人間の生活圏に出没し農作物を食い荒らすクマの被害が繰り返されている。
「捕らなかったのは誰の責任かと問われ、ハンターだと言われればそれは仕方ないが」(林会長)
賢いクマはなぜ生まれる
やっと箱わなにかかった巨大グマ。
このように人間の裏をかくような賢いクマは、どうして生まれるのだろうか。
「一度おりの中に入った時に、扉が閉まりかけた経験があると思う。その時に難を逃れて逃げることができたのでは。餌を引っ張ると扉が閉まることを、その時に学習したと思う。あれだけ大きなクマは10~15歳くらい。経験値があり、生きる中で学習をした」(北海道大学大学院獣医学研究院 坪田 敏男 教授)