福井・大野市の山際にある集落で、80代男性がクマに襲われ重傷を負った事故の深刻な状況が明らかになった。市や警察から当初は「命に別状はない」と発表されていた男性だが、その後の取材で、4時間に及ぶ手術が必要な大けがであったことが判明した。
「背後から突然襲われ」4時間に及ぶ手術
男性がクマに襲われたのは、11月20日午前7時頃だった。農作業をしようと小屋の近くにいたところ、背後から突然クマに頭をひっかかれたという。
出血しながらも小屋の中に逃げ込み、自ら止血した後、近所の人に助けを求めた。駆け付けた救急隊により病院に搬送された。
取材班が男性がクマに襲われた現場を訪れると、木が生い茂り薄暗い環境であることが分かった。
取材に応じてくれた男性の家族は「4時間に及ぶ手術を受けるほどの大けがで、現在も入院している」と明かした。
家族によると「この地区にクマが出るのは珍しく、この現場にくるのも怖かった」という。
地域に広がる警戒の動き
この事故を受け、大野市と地元猟友会は現場付近の3カ所におりや箱わなを設置したが、男性を襲ったクマはいまだ捕獲されていない。

市は周辺に注意喚起の看板を設置し、車でのアナウンスなどを通じて住民への注意を呼びかけている。
事故現場付近にある上庄小学校では、学校からの呼び掛けもあり、ほとんどの児童が保護者の車で登校していた。
地域住民からは「どう警戒したら良いのか…」と困惑の声も聞かれた。
10月以降に出没件数が急増
福井県内では今シーズン2例目となるクマによる人身被害。大野市内では、クマ出没情報は11月20日までに133件に達し、そのうち78件と半数以上が10月以降に集中している。出没地点は市内各所に広がっており、地域全体での警戒が求められる状況だ。
大野市を訪れていた観光客は事故を知らずに来訪したといい「男性が頭ひっかかれた?本当ですか?」と驚いた様子。「雲海を見るために山の中に行こうと思っていたけど…やめておこうかな」と観光プランの見直しも検討していた。

いつ、どこでクマに遭遇するかわからない状況が続き、危機感はますます高まっている。
