福岡県朝倉市のいわゆる「外国人向けマンション」をめぐる問題の続報です。

反対のデモが起きる中、建設予定地を所有する企業の関係者が取材に応じ「建設には協力できない」と話しました。

◆記者リポート
「静かな朝倉の町並みに大きなもの音のデモ行進が進んできています」

◆シュプレヒコール
「朝倉のことを勝手に決めるな!」

11月16日の朝倉市。

日の丸の旗を振りながら行進するのは、いわゆる「外国人向けマンション」の建設に反対する人たちです。

◆デモの主催者
「1人でも多くこの問題を知っていただく。その目的でデモをしました」

朝倉市の柿原地区では今から3年前、中国系の開発業者がマンションの建設を計画。

去年5月、業者側は地元の住民に対して計画の概要をこう説明しました。

◆説明会に参加した地元の区長
「中国系が40%、香港・台湾が40%、日本・韓国が20%の割合で販売すると」

開発業者側は住人の8割以上が外国人になることを説明。

約1万8000平方メートルの敷地に、14階建てのマンション2棟の建設を予定し、290世帯が入居見込みだと話したといいます。

さらに業者側はマンションを6棟に増やし2000人が住むことを目指すと説明したということです。

◆地元住民
「『来てほしくない』という話しか聞かない。どうなるんだろうな」

地元住民からマンションの建設に対する不安の声が上がる中、今年の春、SNS上にあるデマが拡散しました。

《SNSより 今年4月の投稿》
「現在マンションが出来ており 数十年後には1000棟のマンションを作り、2万人の中国人を移住させるとの話」

今年6月、朝倉市議会では市議がこのデマについて指摘する場面も…

◆朝倉市 渡辺毅 市議
「2カ月ほど前にSNSで、中国系のマンション建設の情報が誇張されて大げさに流れていたことはご存じか?」

◆朝倉市 都市建設部長
「市としては把握はしていません」

さらにSNSには「知事が建設を許可した」などという事実と異なる情報も投稿され、これを信じた人から県に抗議電話やメールなどが殺到。

これを受けて、県が「許可した事実はない」と否定する異例の会見を開きました。

また、朝倉市には約1200件以上の苦情の電話やメールなどが相次いでいるといいます。

◆朝倉市 人事秘書課 古賀勝 課長
「『移民政策反対』『中国人が2万人来るがいいのか』という電話が多い」

中にはこんな不可解なメールも…

◆朝倉市 人事秘書課 古賀勝 課長
「“主権行使メール”。例えば日本憲法前文および第1条に基付、国民主権=設計権の行使者として以下のことを指示します。外国人マンションの反対。国民主権=設計権で『設計権』という言葉は使わないので違和感はあります。どういう意味なんだろう」

朝倉市によりますと、「国民主権」を主張し海外資本による土地売買の規制などを指示する内容のメールが、今年9月中旬以降、約60通届いたということです。

文面はほぼ同じで、朝倉市は対応に苦慮している状況です。

こうした建設反対の声に対し10月、開発業者側は自社のホームページで釈明しました。

《開発業者のホームページ》
「『外国人専用マンションが開発される』旨報道されておりますが、事実とは異なります。特定の国籍者の移住を推進する目的はございませんし、法令に違反する入国や在留を推進する目的も一切ございません。現在のところ1棟のマンション(総戸数164戸)の建設を予定しております」

現時点でマンション建設の計画に変更はないとした業者側。

一方で建設予定地を所有する企業の関係者は、TNCの取材に対しこう語りました。

◆建設予定地を所有する企業の関係者
「元は、近くにあるクリニックに中国人を呼び込み、その中国人の患者が宿泊できる施設を作ると聞いていました。ただ、反対運動が起きる中、地域との関係も考えるとマンション建設には協力できないと判断し、開発業者側にもその立場を伝えています」

波紋を広げる朝倉のマンション計画。

現在も開発許可をめぐる手続きが滞り、建設予定地では既存の建物の解体も始まっていない状況です。

テレビ西日本
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