8歳の男の子が「飼育員に聞きたいこと」は…
飲食店をはじめ、多くのお店で見かける「お客様アンケート」。
店を訪れた感想や疑問点・改善点などを募集したり、客とのコミュニケーション方法のひとつとして導入している店舗も多いが、今、Twitterでこんなやりとりが話題となっている。
— 山内 創 (@suymuc) October 7, 2020
「ひじょうによかったのに、なぜ人がこないのか」
飼育員のこたえ「俺も知りたい」
投稿をしたのは、北海道北見市にある「北の大地の水族館」の山内創館長のTwitterアカウント(@suymuc)。
水族館では「飼育員に聞いてみよう」というアンケート用紙を置いており、「水族館の中で気になったこと」などを飼育員に伝えることができる。そして後日、館内掲示やSNSにて回答がもらえる、というシステムだ。
8歳の男の子から寄せられたのは、展示されている魚たちへの疑問かと思いきや…「お客の少なさ」への直球な疑問!
どこか“渋さ”すら感じるこのやりとりには「シンプルかつストレートでわかりやすい回答」「子どもは素直!この水族館が大好きなんだろうな」というコメントの他、さっそく興味を誘われ「行ってみようかな…」という声も多数寄せられ、19万件を超える「いいね」がついた(10月16日現在)。
実はこちらの「北の大地の水族館」、以前編集部でも取り上げた「館長が出てくるボタン」が設置されている水族館としても一躍有名となっていた。
(関連記事:水族館に設置された「館長が出てくるボタン」が面白い…どんな人が押したのか館長に聞いた)
お客さんとのコミュニケーションを大事にする水族館ならではのやりとり、という感じもする今回の投稿だが、このストレートな「お客様の声」を見た館長の心の内は? そしてこの“バズ”効果で、お客さんは増えたのだろうか?
さっそく、山内館長にお話を聞いてみた。
館長「ストレートな感想に笑った」
――この質問を見たときの感想は?
言葉選びとストレートな感想に正直に言って笑ってしまいましたが、非常に良かったというのもまたストレートな感想でとても嬉しかったです。
――投稿への反響について…
面白がってもらえてよかったなと思っています。また質問者の高田そう君には大変感謝しています。
――反響を受けて、お客さんは増えた?
入館者数に関しては現在GoToキャンペーン効果で入館者が伸びていることもあり、反響をいただいた効果があるかはわかりませんが、館内に設置のアンケートでは少数ながらTwitterを見てお越しいただいた方がおられたのは事実です。
早速ツイッターみてお越しいただいた方が!ありがとうございます😭 pic.twitter.com/JCqB83oAl0
— 山内 創 (@suymuc) October 9, 2020
話題の質問については、館長も本音の回答をしつつ思わず笑ってしまったということだったが、肝心の来館者数については、現在新型コロナの影響等がありつつも、GoToキャンペーン効果もあり増えているそう。
また「館内で声をかけていただくことが増えた」そうで、“バズ効果”もばっちり生まれていた。
「Q.バズッてからはお客さん増えましたか?」
「A.あまり変わりませんが館内で声をかけていただくことが増えました!ヤッター!」
他にも、
Q.水そうが割れたらどうなりますか?
A.大変なことになります
Q.館長は若いですが、なんで若いんですか?若作りですか?歳が若いのですか?
A.毎日水族館にいると若さを保つことができます。※効果には個人差があります
など、ユニークなQ&Aが数多く生まれている「北の大地の水族館」だが…
――これまでに「これは!」と思った質問は何?
最近受けた「さかなのしっぽはなんでひらひらなんですか?」という質問が良い着眼点の質問だなと思いました。
5歳の女の子から寄せられた「魚のしっぽはなんでひらひらなんですか」という質問には、「水の中で速く泳いだり、長い時間泳ぐためにひらひらしています。魚の中には異性へのアピールのためにひらひらしている種類もいます」と、真面目な回答も。
思いがけずコミカルなやりとりが生まれてしまった質問コーナーだが、子どもたちにとって、直接飼育員とやりとりできるのは、大切な経験になっているに違いない。
実は「日本一と世界初」の水族館?
さらにお客さんとの距離感が近付いたと思われる「北の大地の水族館」だが、実は「日本一と世界初がある水族館」としても親しまれている。
――「北の大地の水族館」とはどんな水族館?
滝つぼの下に入り水中から滝つぼを見上げる「滝つぼ水槽」は、日本で初めての展示方法で現在でも日本で唯一の展示です。
また世界初の展示は厳冬の北海道の寒さで凍りつく川面の下で生きる魚の様子を伝える「川が凍る水槽」です。こちらは冬以外にも四季の水中を再現した水槽で、特に秋には川へと帰ってくるサケやマスを展示し、人気を博しています。
日本では北海道でしか見ることができない日本最大級の幻の魚“イトウ”の展示尾数は日本一となっております。ほかにも当地はおんねゆ温泉という小さな温泉地に立っており、そのお湯を利用して熱帯淡水魚を飼育展示するなど、魚そのもの以上に地域の自然や情報を水族館で伝えることに重点を置いた展示をしております。
――ぜひ行ってみたい!という方にメッセージを…
小さな水族館ではありますが、生き物を見たり写真を撮ったり質問を書いたりいろいろな楽しみ方が出来る水族館ですのでぜひお気軽にお越しいただけたら嬉しいです。
浮かんだ疑問をすぐに聞くことができる「館長が出てくるボタン」に今回の質問コーナーと、コミュニケーションが盛りだくさんな「北の大地の水族館」。
新型コロナの影響もありなかなか外出が難しい現在だが、館長が再び「俺も知りたい…」と思ってしまうような鋭い疑問を発見しに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
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