クマの出没は私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしている。
この「前例のない状況」に対して、クマが相次いで現れる地域の住民はどう対処しているのか。
街路樹のヒメリンゴに上るクマ
「降りた、逃げてった、逃げてった」(動画の撮影者)
狙われたのは街路樹のヒメリンゴ。
10月、北海道・上ノ国町で連日のようにクマが出没した。

クマが戻って来ないようにと街路樹は伐採された。

10月24日に行われた北海道初の緊急銃猟
10月24日、札幌市西区西野の住宅地に響いたライフルの銃声。
北海道で初めて行われた「緊急銃猟」での発砲。

クマへの対応を語る宮の丘中学校 細川直久校長
クマの出没で札幌市では11月14日も小学校2校が休校するなど、これまでに延べ21の小中学校が臨時休校の措置を取っている。
「子供の安全を第一に対応していかなくてはと、1か月以上放課後活動を制限して、日の入りまでに(生徒が)帰れるよう対応してきました」(宮の丘中学校 細川直久校長)
札幌市西区の宮の丘中学校では10月3日から放課後の部活動を大会が近いものだけに限定し、保護者には子供を迎えに来るようお願いした。
現在は通常の生活に戻したが、構えを解くことはできない。
「教育活動の充実も考えていかなければいけない。ただ絶対に安全という状況ではないので、引き続き安全確保を最優先に対応していきたい」(細川校長)

市街地が山のふもとに広がってできた札幌市。

住民はどの程度対策しているのか
住民にとってクマ対策は身近なものなのだろうか。
「(気を付けていることは)ない。山に行くとしたら(クマ)スプレー持っていく」
「キャンプ行かないようにしている。住宅街にも出てるから」
「笛持ってます、クマよけの。大きい音鳴る。何もしてなくても襲われてる人もいるから(クマに)会ったら終わり」(いずれも北海道民)

石狩市では
「クマの出没が相次ぐ中、北海道・石狩市では住民たちによる新たな取り組みが始まりました」(蒲生美緒記者)
石狩市では2025年、クマの出没が69件あった。
過去最多だった2023年の72件に迫る勢い。
クマにより中止となった浜益ふるさと祭り
特産物の秋サケなどを販売する「浜益ふるさと祭り」。
40回目の開催を予定していたが、会場となる公園近くでクマの痕跡が見つかりイベントは中止となった。

クマによる地域活動の制限
「マチのPRはできなくなりました。いつもであればサケを買いにくるお客さんが来られなくなった」(浜益わかもん会 徳地克実会長)
クマが出るたびに地域活動が制限されてしまうのが現状。

地元の有志による勉強会
石狩市浜益区では10月、地元の有志がクマの生態を学ぶ勉強会を初めて開いた。
「今、前例のない状況。クマの食べ物は木の実。通常豊作では人前には姿を見せない。食物の制約があると、人前に顔を出さざるを得ない。今年はそういう状況」(北海道立総合研究機構 間野勉さん)

「クマにいかに人間がいるかを知らせるしかないのか」(参加者)
「かつては集落のまわりにアイヌの人は犬を飼っていて、人間に対して知らせてくれた。今は放し飼いが認められていない。人間の生活形式の変化が今のクマのさまを招いている」(間野さん)

クマとの向き合い方
石狩市浜益区は山間部に居住地が広がり、昔からクマの出没が多い地域。
住民はクマとどう向き合っているのか。
「クマがいる時間には近づかない、出そうな場所に。だいたい出る場所は限られている」
「(クマは)夜行動すると思うので夜は(ごみを)出したことない」(いずれも浜益区の住民)

「前は雨に濡れていて前の日出したごみもあった。今は(収集時間の)ぎりぎりに出してくれている」(ごみ収集作業員)

クマが潜む場所を減らす取り組み
クマが潜む場所を減らそうという取り組みも意識的に行われていた。
「(クマの)隠れ場所を減らす、見やすくする。いてもすぐわかるように。隠れる所がなければ来れなくなるのでは」(浜益区の住民)
クマが目撃された場所に近い保育園ではすぐに茂みの草刈りが行われた。

小学生のランドセルには…
クマ鈴「チャリーン」
人間とクマとの「付き合い」はこれからも続く。
