ガソリンの暫定税率が12月31日で廃止されるが、政府の補助金が増額され、すでにガソリン価格が下がっている。
車の運転だけではない。
暮らしにどんな影響があるのか。
「ずらりと並ぶ給油待ちの列。いつもより3割増しだということです。」(関根弘貴記者)
11月13日の北海道札幌市中央区のガソリンスタンド。
レギュラーガソリン1リットルの価格は164円。
12日までは169円だったので、一気に5円の値下げだ。
「今は物価が上がっているので、5円下がるとだいぶ違ってくる」(利用客)
なぜ安くなったのか。

現在、ガソリンには1リットルあたり25.1円の暫定税率分が上乗せされているが、2025年いっぱいで廃止される。
これにより価格が急に下がると買い控えや混乱が生じる恐れがあるため、政府は段階的に補助金を拡大していく。
「会社としてインパクトが大きい。思い切って、もっと拡販できる」
「財布にも影響するのでありがたい。旅行で遠くに行きたくなる」(いずれも利用客)

12日に発表された補助金増額前の北海道のガソリンの平均価格は173.7円。
3週間ぶりに値上がりした。
今後、補助金により値段が下がっていけば、暮らしにも明るい兆しが見込める。

運送業界にもガソリン値下げの影響
ガソリンの値下げによる影響はこんなところにも。
こちらの運送会社では20台の車を使って、1日に1600個の荷物を運んでいる。
1か月に使うガソリンの量は約5000リットル。
ガソリンの価格が5円下がることによって、月2万5000円のコストダウンになるという。
「経費が少なくなるので、ドライバーの手取りが増える。ガソリン価格が段階的に安くなれば、年間10万円くらい手取りが増える」(大野軽貨物 大野光博社長)

運送業界は慢性的な運転手不足に苦しんでいる。
今後、段階的にガソリンの値下げが進めば、その分を賃上げに回し人手不足解消につなげたいと考えている。
「ガソリンが高くなり、運転手の手取りが仕事に見合ってない。改善していければドライバーが増える」(大野社長)
物流部門でコストダウンが進めば、私たちの暮らしにも大きな影響が及びそうだ。

今後の見通しは?
北海道の経済の動向に詳しい専門家は。
「物価高を抑える意味でも、今後効果はあるだろう。(ガソリンの値下げにより)物価の上昇率は落ち着いてくると見ている。家計の負担が軽くなってくる部分があり、それが他の消費にあてられ、いい循環になるのでは」(北海道二十一世紀総合研究所 伊東基寛 調査部長)

民間の調査会社によりますと、2025年に値上げされた食料品は累計で2万品目を超えている。
その大きな要因の一つが燃料費などの物流コストのアップ。
ガソリン価格が下がれば、物価高騰の波に歯止めがかかる可能性もあるという。
今後の価格の動向から目が離せない。
