農園を救ったユニークなアイデアです。長野県飯島町のリンゴ農園は、2024年、半分以上がカメムシの被害を受けましたが、「かめふじこ」と名付けて販売すると全国から注文が寄せられました。廃棄を減らし、売り上げにもつながるアイデアをくれたのは“大阪のおばちゃん”です。
真っ赤に色づいたリンゴ。今、収穫の最盛期を迎えている「ふじ」です。
リンゴ農園「原田屋」・宮脇寛行さん:
「見た目を良くするためには色がついていないと」
飯島町のリンゴ農園「原田屋」の宮脇寛行さんと明子さん夫婦。今年は比較的順調に育っていますが、2024年は大変な思いをしました。
地面に転がる黄色いリンゴ。カメムシに汁を吸われたリンゴです。農園では2024年、カメムシが大量発生し、半分以上が出荷ができない状態となりました。
手塩にかけて育てたリンゴを廃棄することになり、悔しさと無力感でいっぱいだったという宮脇さん夫婦。
もう1人、悔しさを感じている人がいました。
沢田理佳さん:
「作業も手伝いながらリンゴを広めようと」
農園のボランティアの沢田理佳さんです。大阪在住で、2023年に農園で農業体験をしてから、毎週のように手伝いに来ています。
沢田さんは、被害に遭ったリンゴを見て、宮脇さんにある提案をしました。
リンゴ農園「原田屋」・宮脇寛行さん:
「理佳さんが大阪の人だからなのか、『こんなもの(傷など)は単なる模様の感覚だ』と。『おいしくて化学肥料を使わないものなら売れる』と言われて」
廃棄するつもりだったリンゴのオンライン販売です。ただ販売するだけでなく、ある工夫も加えました。
沢田理佳さん:
「カメムシに食われているし、『かめふじこ』やな」
カメムシの被害に遭ったリンゴは「かめふじこ」。
ひび割れがあるリンゴは―。
沢田理佳さん:
「ひび割れている、これなんか名前つけてやられへんかなと。ひび、ひび、ひびき!って」
「ふじひびき」。
訳アリであることを逆手にとった名前を付け、売り出しました。すると、ユニークな名前に目がとまったのか、全国から注文が寄せられたということです。
農園は、廃棄を減らすだけでなく、売り上げにもつなげることができました。
リンゴ農園「原田屋」・宮脇寛行さん:
「本当に売れて、送るのに苦労するくらい注文がきた。(2024年は)大きな被害になるところだったが、収益とすれば大きな落ち込みにならず、本当におかげさま、こんな貴重な人が世の中にいるんだって」
農園のピンチを救った沢田さんのユニークなアイデア。まさに、救世主です。
沢田理佳さん:
「そのときの客よりも断然に増えたので狙い以上」「やって良かった」
農園によりますと、今年は、小ぶりなものを「親指姫」と名付けて販売しているということです。
なお、今年はカメムシ被害が少なかったため、「かめふじこ」は販売しない予定です。